活動会員のレポート

ABICでの活動を通してこれからの自らに期待

山内 やまうち 文裕 ふみひろ (元 岡谷鋼機)


トラスト海外営業部の方々と筆者(右から3人目)

 私は世間でいわゆる働き盛りといわれる時期に、通算17年の米国および中国駐在を終え、2007年から4年間、日本貿易振興機構(JETRO)名古屋貿易情報センターで、機械・電機関連の中小企業を対象に輸出支援を担当した。JETROでは赴任早々から、機械関連中小企業向けに輸出拡大のための講演、セミナー、貿易相談等の講師を務める機会に恵まれ、講師という資格などない自分であったがぜひやってみたい仕事の1つであったので、ちゅうちょすることなく登壇させていただいた。
 当日の参加者の様子を見て、話の反応を見ながら臨機応変に話をしたいという自分勝手な理想とは異なり、仕事ではなじみのないパワーポイントで事前の資料を作る。その講演資料が参加者に配られるということもあり毒舌持論の意見とはいかず、演壇の上に立つことよりもその準備作業に苦労した。事前の資料作りの難しさは、きっと私だけではないと感じつつ作成したものだった。セミナーが終わっても、それでさようならというわけにはいかず、次回の講演に生かせるよう、参加者のアンケート調査に目を通す。このアンケートの意見、そしてその反省こそが、開始したばかりのABICでの活動の自らの方向性に実に大きく影響を与えている。
 講演の満足度についてはどの講演も6割ぐらいは、「ほぼ満足」というもの。この数字は、日常開催されているいろいろな講演でもほぼ同じであろう。そして2割ぐらいは「非常に満足」。これらの企業の方々はきっと日頃貿易関連の勉強や実務の機会が少ない企業であろうと推察する。さらに残りの2割は「不満もしくは非常に不満」というものであった。機会を見つけその理由を教えてもらったが、「もっと具体的な輸出戦略の話を聞きたかった」また、私の「中国駐在中の生の経験談を聞きたかった」というものであった。彼らの要求は理解できるが、各企業それぞれ製品・輸出国・将来展望等さまざまであり、参加者全体のニーズに合わせることの難しさを感じ、不満を述べたこの2割の意見が私の脳裏を離れることはないのである。
 JETRO名古屋での仕事が終了して、このような貴重な経験を生かせる場を求めていたところ、ABICから最初の活動の機会を頂いた。日本から見ればまだまだ古い体質の中国企業と手を組み、最新のカーファッション製品で販路拡大しようとする企業の支援である。私は、前述した講演後のアンケートで、効率的に少しでも早く成功したいと願い、不満を述べた企業のことを思うと、私自身の発想を変え、中国や中国人の日々変化する思考を捉えて、伝統的な発想を超えた新しい手法を模索しながら、確実に成功へと導く支援を行わねばならないと強く思うのである。そしてABICの一員として、社会貢献を目指すABICとの連携を持って一歩一歩活動を拡大させ成果を挙げていきたいと思っている。