活動会員のレポート

内閣府の「歩こうアメリカ、語ろうニッポン」プログラム(注)に参加して

中小企業診断士  原田 はらだ じゅん


ケンタッキー大学にて(左から4人目が筆者)

現地有識者等を招いたレセプション

 標題のプログラムの第2グループとして渡米するという経験をさせていただいたので、御礼の意味を込めて簡単に報告させていただきたい。
 2014年4月ABICからのメールで募集を知り、応募しようと思った。取り掛かってみると1,500語の英文エッセーのハードルが高かったので、いったんは断念したが、結局何とか作成し応募した。1969年にホームステイをして以来、私の人生に大きな影響を与えた国の今をこの目で見たかったからである。
 5月12日(月)に面接があり、5月19日(月)から3日にわたる講習を電通本社で受けた。私が通常では直接お話をお聞きする機会のない方ばかりからの講義だったので、これだけでも大きな財産となった。
 さらに6月15日出発の第2グループに決まってからは、団長の島田晴雄先生(千葉商科大学学長)の事務所で3日間にわたってお話を伺った。これも先生のお考えが分かり、メンバー間の理解も深まって非常に良い機会だったといえる。他のメンバーお二人もABICのメンバーであることが分かり心強く感じた。
 6月15日(日)に東京を発ち、ケンタッキー州のレキシントンへ到着した。到着したその日の夕食会をはじめとして、毎日会合が5-6ほど組まれていた。日米協会を中心とする集まり、地元の大学教授との意見交換などはどちらも単なる儀礼を超えた実のある意見のやり取りができた。
 6月18日(水)にペンシルベニア州のフィラデルフィアへ移動した。こちらはレキシントンに比べるとはるかに都会だったが、日程はレキシントン同様に忙しいもので、多くのミーティングによる意見交換を行った。したがって間に移動が入ったとはいえかなりハードな6日間となった。
 ABICのお二人は私より年齢が上にもかかわらず、日程が進むにつれてますます元気になられた。これは自分には予想外のことでもあり、またこれから自分が同年代になってもパワフルにやれるのだという大きな励みになった。
 島田先生の隣にいる機会が多かったのだが、アメリカの大学教授や学生と討論をしているうちに、議論に夢中になられるのがよくわかった。常に相手の意見を全身で受け止められ、全身で返そうという姿勢なのである。これには頭が下がった。自分は場合によっては適当に受け流そうと考えてしまうことがあるのだが、島田先生はそうではなかった。こうした姿勢が国を超えて多くの方の信頼を勝ち得ることにつながっているのである。これは大きな気付きであった。
 振り返ってみると各領事館や日米協会の皆さま方の努力の上で、親日派の方を中心に意見を交換したということになるのかもしれないが、こうした試みは今後も続けていく価値があることは間違いない。
 初めは気楽な気持ちで参加したこのプログラムだったが、終わってみると20年分の動機付けを頂いた。心から感謝している。機会があったらまたやりたいぐらいである。私はこれから80歳まで20年は仕事するつもりだが、中小企業診断士としての視点はどうしても診断対象の企業だけに向きがちだ。それをもう少し広げて国とか世界とかの視点を加えることにより、対象企業についても立体的に見ることができることが分かった。気付きを大切にしてこれから20年やっていこうと思う。ABICを含め関係者の皆さま本当にありがとうございました。

(注)米国の各都市において、地元の人々に対して、日本の強み・魅力等の発信を通じ、日本の理解促進を図ることを目的として、一般から公募した人材を内閣府が選定し、全米各地へ派遣する事業。