活動会員のレポート

第14回ABIC大学講師勉強会を開催

大学講座担当コーディネーター  瀧本 たきもと ただし (元 住友商事)


「ABICが提供する大学講座の現状」について説明する筆者

勉強会の様子

 2023年2月2日にABICが主催する「大学講師勉強会」を約3年ぶりに開催した。ABICでは2000年の発足以来、大学・大学院やエクステンションセンターなどへ数多くの会員の方々を講師として派遣している。派遣先は当初より年々拡大を続け、また講義内容も多様化してきており、2022年度では、29の大学・大学院、年間79講座、1,089コマ、延べ200人を超える講師を派遣している。このように大学など出講先から信頼を得、長年にわたり数多くの講師を派遣できているのは、ひとえにこれまで講師として活動いただいてきた会員の皆さまのご尽力のたまものである。ABICでは従来、新しく講師として活動いただくために、比較的最近会員になられた方のうち大学での講義にご興味をお持ちの方々を対象に定期的に勉強会を開催していた。ここ数年はコロナ禍により、この「大学講師勉強会」も2019年11月11日開催の第13回を最後に延期、中止を余儀なくされてきたが、ようやく3年ぶりに第14回の勉強会を開催することができ、定員いっぱいの26人の会員の皆さまにご参加いただいた。
 当日の勉強会では、ABIC事務局長のあいさつの後、「ABICが提供する大学講座の現状」につき、大学講座担当コーディネーターより説明した。まず、大学側からの講義要請・ABICによる売り込み→講師選定・大学側承認手続き→講師打ち合わせ・講座開設・実施という講座開設までのプロセス、次に複数の講師が交代で講義を行うオムニバス方式が一般的な講義の形式であること、また大学からの講義受託において、大学と講師の直接契約およびABICの講座受託契約の2種類があることなどを説明した。さらに大学を取り巻く変化として、入学定員厳格化による学生の変化、ICT管理の増加・強化があること、またリカレント教育や実務教育の推進などに触れて、望まれる講師像、講義の内容・テーマ事例、ABIC講師のポジティブ、ネガティブ両面の評価なども紹介した。また講義資料・講義内容の留意点として、具体的な資料作成事例に沿って分かりやすい資料の作成や講義の仕方、また教育機関における著作権の留意点などについても紹介した。最後に、活発な質疑応答が行われ、参加された会員の皆さまの関心の高さと講師への意欲をうかがい知ることができた。
 大学講座のコーディネーターとして日頃大学側と接していると、講師選定や講義内容につき、ABICおよびABICが派遣する講師の方々に対する大学側の信頼の高さを強く感じている。これもひとえにこれまで講師をしていただいた、また現在講師をしていただいている会員の皆さまが、その経験と人間性、そして熱意を持って取り組んでいただき、質の高い講義をしていただいた結果である。
 少子高齢化が進み、日本における大学の教育環境、学生と教師を取り巻く環境も大きく変わっていく中で、講義内容の多様化も進み、特に実践的教育、リカレント教育システム、その担い手としてABIC会員のような実務家教員のニーズは今後とも高まっていくと思われる。同時にグローバル人材の育成や大学の国際化がいわれる中、世界各国で経験と実績を積まれたABIC会員は教員としてうってつけの存在でもある。なお、ABICでは英語での講義のニーズも高まる中、「英語で授業をするための講習会」の再開も準備中である。
 従来から講師としてご活躍いただいている会員の皆さまに加え、未経験だが講師としての活動にご興味をお持ちの方々、また新しく会員になられた方々にも講師としての活動にチャレンジいただきたく、今回の勉強会がそのきっかけとなれば幸いである。