活動会員のレポート

神戸から世界へ

神戸市海外ビジネスセンター  酒井 さかい ひろし (元 丸紅)


神戸市海外ビジネスセンターにて

担当する海外ビジネス支援のチラシ

 2021年11月に、その2ヵ月ほど前に会員登録していたABICから、神戸市海外ビジネスセンターのシニアアドバイザーの話を紹介された。長年勤務した商社時代の知識、経験(20年近い海外駐在経験を含む)を生かせる所があれば、もう少し働いてみようかと就職活動をしていた時期で、面接の上採用が決定され、2022年1月から勤務することになった。
 少子高齢化に伴い国内市場が縮小し、海外とのビジネス展開を目指す企業も増えている環境下、地元の中小企業の海外ビジネス支援や外国人材獲得支援をする目的で、神戸市役所の一部署として2012年7月にアジア進出支援センターが設置され、2016年に海外ビジネスセンターに改称され現在に至っている。
 ひょうご海外ビジネスセンター(県)、ジェトロ神戸(国)とは、神戸商工貿易センタービルの同フロアに事務所を構えており、ワンストップ窓口として、それぞれの機能を生かしながら(必要に応じて連携しながら)、中小企業支援に当たっている。
 当センターの業務内容の海外ビジネス支援としては、専門家(登録アドバイザー)による無料相談、提携しているコンサルタント会社を起用した海外ビジネス支援(販路開拓、資材調達先開拓等)、オンライン商談会(コロナ禍前は、海外での現地商談会)、海外ビジネスミッション、定期的なセミナーや法律勉強会の開催が主要メニューである。
 一方外国人材支援では、毎年6月に外国人留学生を対象とした合同企業説明会を主要イベントとして開催し、外国人材の採用を考えている企業を支援している(2022年度:出展企業33社、対面参加学生数は800人超)。また行政書士による在留資格などの相談にも応じている。
 メルマガを毎月配信し関連情報を企業にタイムリーに伝え、支援活動を広げられるように動いているが、一方で地道に地元企業を訪問しながら上記支援制度の説明をし、関西の展示会、販売会などに参加して新規支援先の可能性を探ったりするなどして、当センターの認知度を高めるようにも活動している。
 創業100年を超える老舗企業から、クラウドファンディング利用のサブスク新興企業まで、いろいろな業態、業種からの相談に対応しているが、中小企業では人員体制の制約(貿易実務経験者を含め)、言語の問題など、海外との取引を進める上で、さまざまな課題に直面している。また3年にわたるコロナ禍の影響や、ロシアによるウクライナ侵略による原料高と急激な円安によるコストアップを売価に十分に転嫁できず、どこも厳しい環境にも置かれている。
 どんな相談内容も的確に把握し、迅速な問題解決を図るようにし、また海外の取引先の開拓等では民間在職時の意識も思い出しながら、できるだけ結果に結び付けられるように努力している。
 当センターのウェブサイトに「神戸から世界へ」と掲げているように、国際都市神戸から一つでも多くの企業が世界の企業と関わることによって、将来の新たな展望が開ける動きの一助になれるように、今後とも「寄り添い型支援」を推進していきたい。
 末筆ながらABICには、こういう職場をご紹介いただいたことに改めて感謝いたしたい。