マンスリー・レポート No.1 (2000年7月)
NPOを助けるNPO活動

 4月1日に設立された本センターについては6月号の特集で設立の経緯や目的が紹介されていますが、今後、具体的な活動状況や関連した情報・動向、またご意見などを掲載していく場として、日本貿易会月報の誌面に「国際社会貢献センターの広場」を開設しました。

 現在のところ、センターの活動は開始したばかりなので、まずは各会員会社のOBを中心にセンターの案内と登録用紙を配布していただき、登録の募集を進めております。7月10日現在で532名の方が登録されました。

 登録用紙に記載されている登録者の方の経歴やコメント、センターまで尋ねて来られてお話を伺う機会などから、改めてわれわれ商社OBの方の海外へかける情熱、海外でのさまざまな経験と仕事の軌跡を垣間見ることができ、当センターの活動を通じ、日本の国際化のいろいろな分野で、こうした方々にさらに力を発揮していただければ、日本全体にとっても大変なプラスになるに違いないと改めて感ずるものです。

 今月は、商社OBの方で、既に社会貢献活動や自治体の国際化に力を尽くしておられる方の事例をご紹介します。当面登録対象となる商社OBの方は約2万人おられ、それぞれの方がそれこそ種々様々な活動をされておられると思われますので、今後もそうした例をご紹介していきたいと考えています。

NPOを助けるNPO活動

伊藤栄彦さん

 伊藤さんは、現役時代の監査業務の経験、子会社経営の経験を生かし、介護団体等NPO(非営利団体)に経理体制などの改善を助けるボランティア人員を派遣する活動をされています。

 高齢化社会で民間の介護事業者の活動はますますニーズが拡大していますが、善意や熱意で始めた事業も実際には組織や経理の体制が不備なため政府の助成金の正確な処理も難しいような状況が少なくありません。そこで、まず昨年は東京都の一つの区の範囲で、業務改善を助けるための人員を集めて研修を実施し、事業者に派遣したところ大変な効果が上がったことから、今年は都全体に拡大して実施することにしているとのことです。言わばNPOを助けるNPO活動です。

 伊藤さんの場合は単に経理の知識を生かせたというばかりではありません。やはり福祉の現場を体で知っている必要があると感じられて、昨年は2ヵ月間介護派遣団体に行って研修を受けられました。毎朝事務所に出向いて、掃除、利用券の整理などの作業と経理業務に携わりながら、介護事業の動向、団体活動の状況を学び、さらに助け合い精神、仕事を愛する心、ボランティア精神、プライバシー保護、恥をかきながら学び合う心など、周囲の皆さんから学ばれたとのことです。

 4月からスタートした「介護保険」のトラブルが盛んに報道されています。報道されるトラブルの先には切羽詰まった生身の人間がいるわけですし、高齢化社会、少子社会に突入している日本では、誰にとっても無縁ではない深刻な問題です。

 伊藤さんは、きちんとした手を打っていかないと、介護の人手が絶対的に足りなくなるし、外国から不法労働者が入るようになっては問題が複雑になるばかりで、むしろ国際的にきちんと研修と派遣の体制を整え、条件の合う外国から介護者を正規に受け入れるよう整備をしていくべきだと考えています。

 さらに、伊藤さんは5人の外国人留学生の面倒をみています。国家体制や宗教的な関係などから、また、ショッキングなニュースにばかりに偏るテレビ報道などから、日本とは遠く隔絶した国として一般に受けとられているところであっても、大部分の人は温かい真心をもっており、文化的な壁は十分乗り越えられると信じているとのことです。

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