マンスリー・レポート No.14 (2001年12月)
小・中学校・高校向け国際理解教育非常勤講師派遣プロジェクトがスタート

 平成13年から教員免許をもたない社会人を小中学校・高校の「総合的な学習―国際理解」の授業に非常勤講師として登用する制度が、文部科学省指導のもとスタート。ABICがこれにお役に立てるのではないかということから、このプロジェクトがスタートしました。9月に講師募集を開始したところ現在、長い海外駐在の経験のある100名近い会員が登録。この応募者の情熱に応えるべく各地の学校との結びつきを目下鋭意開拓中です。

 今までに千葉県浦安市立日の出中学、埼玉県飯能市立吾野小学校、神戸市立太田中学、兵庫県立柏原高校の4校で延べ5人の講師派遣が決まりました。第1号案件として11月15日に派遣された藤村登さん(元三井物産)の「日の出中学校」特別講師奮闘記をお伝えします。

第一弾  日の出中学校「パラグアイを語る」

 この学校は東京ディズニーランドのある浦安市内にあり、偶然にも自宅から約200メートルの近距離です。「中南米を知ろう―地球の裏側パラグアイを語る」と題し、対象は中学一年生4クラス、合計160名、体育館に椅子を並べ、40分の講演形式となりました。

 南米のパラグアイは日本の真裏にあって日本から一番遠い国、その国を通して南半球の生活(日本とは季節、暑さ寒さも全く逆の気候風土)、また、日本との絡みでは日系移住者のことなどを交えた話をしました。

 また、駐在時代に習い覚えた現地特有の楽器ハープ(アルパと称する)を持ち込み、壇上に飾りました。講演はお昼過ぎの13時30分からで眠くなる魔の時間帯、こっくりしてうな垂れる姿もあちこち。お昼寝(シエスタ)の習慣、マテ茶を飲む話、最後にヨーロッパ移民の持ち込んだハープが南米の風土に変化して発展した「アルパ」の説明の後、ペルーの「コンドルは飛んで行く」の最初のさわりを演奏したところ、生徒の背筋が一斉にシャンと伸びて舞台を見つめはじめました。まさか67歳の白髪の講師が弾くとは思わなかったのでしょう、…拍手。

 それから、会場の雰囲気は一遍に南米ムードとなり、その後の話をよく聴いた手応えがありました。まさに音楽の効果は絶大、「音楽が良かった。文化が伝わってきた。パラグアイの人と交流してみたくなった」などというアンケートの通り、中学生の場合は理屈よりも、感性で海外を感ずる、絵や写真で具体像を見るほうが、イメージ形成に役立つようです。駐在時代の余暇に習ったアルパが役に立ち、しかも30年ぶりの生演奏がこれほど子供たちに感動を引き起こすとは夢にも思っていませんでした。

 「教える」よりも「海外に夢を馳せる」刺激剤としてABIC講師の体験談が役立つことを目標に、各講師が自分のスタイルを見出していけばよいと思います。出来るだけ多くの人に経験をして頂きたいと念願しています。子供たちの好奇心に満ちた目の輝きを見て元気をもらうために!

(藤村  登)

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