マンスリー・レポート No.16 (2002年2月)
専門学校で初めて授業を行う弁
    佐藤 徹(元 伊藤忠商事)
 国際社会貢献センターの紹介で、昨年4月から週1回、東京工業専門学校で1年生を対象に、経営学と実践法務の授業を行っている。半年契約の非常勤講師である。専門学校も少子化の影響で学生数が大幅に減少しており、私の授業も総合ビジネス、eビジネス、ベンチャービジネスという3つの学科の合同クラスで、在籍者は前期は55名いたが、後期は48名に減った。2割くらいは常時欠席のため、通常は40名ぐらいが出欠をとる対象で、中国、韓国など外国籍の学生が約3分の1いる。会社勤めをしたり、自分で商売をしている人もいるが、大半はファーストフード、居酒屋、スーパー、ボーリング場等でアルバイトをしている。

 彼らが大学ではなく専門学校に来る理由はそれぞれあるが、資格を取るとか家業を継ぐなど、はっきりした目的を持つ学生の方が真面目に授業を聞く。開講時に授業中の飲食と携帯電話の使用を厳禁したのでこれはやらないが、授業がつまらないと結構しゃべる。

 自分の大学時代の経験から、国際公法の教授が2時間の講義の前半を現実の国際政治問題等を取り上げて解説してくれたのが非常に面白く有益で、ものの見方という点で後に至って役立ったことを思い出し、授業のはじめの10分から15分間で時事問題とか常識に関することをやさしく取り上げるようにしている。これが好評でこの時は皆熱心に聴く。昨年授業が始まった頃に、雅子妃御懐妊のニュースがあり、その時は憲法と皇室典範の話をした。また、東急田園都市線三軒茶屋駅で起きた、電車内トラブルから銀行員が殺された事件では、なぜ殺人罪にならないのかと刑法の条文を参照して解説した。彼らが興味を持ったことが分かるのは、そういう場合はよく質問があるからだ。

 もともと若い人たちに接する機会が持てればという不純な動機から始めた仕事であるが、特定の学生と親しくするのはえこひいきになるので避けており、休み時間に休憩所で学生たちと話す機会を持つようにしている。例えば、トルコ人のソネル君とは、学年も終了するので近いうちに渋谷のトルコ料理店に行くことになっている。

 大半の学生は想像していたよりしっかりしており、礼儀もわきまえている。前期の試験は教科書持ち込み自由の論文形式で行ったが、外国籍の学生の日本文が予想していたよりずっと正確に書かれていたのと、日本籍の学生の答案が予想より誤字が少なかったのが驚きであった。もっとも最近は携帯電話で簡単に文字のチェックができるらしい。

 やっと最近になって授業にも慣れてきたところだが、将来は専門学校で真面目に勉強している外国人留学生を支援するシステムを作れればよいと考えている。

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