マンスリー・レポート No.21 (2002年7・8月)
活動会員のレポート
  2002年FIFAワールドカップ・サッカーの縁の下の力持ちとして活躍
    ―HBSのMedia Cordination活動に関わって
    藤井 希祐(元 住友商事)
 57名の活動会員の方々がワールドカップ日本組織委員会経由で登録し、各種研修を受け、各会場でボランティア活動をされました。その他、ワールドカップ実況放映権を持つHBS社が日本での実況中継を行う各会場の現地コーディネート事務所11ヵ所中7ヵ所でABIC活動会員が採用され、2〜3ヵ月間にわたり業務に携わりました。
 大会終了後、ボランティアに参加された会員の方々から多くの感想が寄せられました。紙面の都合によりご紹介できないのが残念ですが、「歴史的なイベントで貴重な体験ができた」「今までサッカーには全く興味がなかったが、終盤にはのめり込むほどサッカーが好きになってしまった」「短い期間ではあったが数多くのボランティア仲間と出会えた」等々。
 その中で、HBSの関係で横浜のメディアセンターに詰めた藤井さんの体験記をご紹介いたします。

活動の概要

 活動を一言でいえば、「HBS」という外国の放映会社の国際放送センター「IBC」で、ローカルスタッフの一員として、日韓共催の「ワールドカップ」全試合の世界各国向け放映/放送に裏方として関与し、「日本に於ける短期間の外国のプロジェクト会社」に「FHRC」(内容後述)という立場で貢献した、ということになると思います。

活動内容

 活動内容を具体的にご理解頂くために以下の説明を付け加えます。

  • HBS (Host Broadcast Services AGの略称。本社:Zug、本部:Paris):FIFA公認の下にワールドカップ64試合すべての映像と音声を製作し、世界中のテレビ/ラジオ放送局(BP)に提供する会社(各試合毎に最大23台のカメラを駆使し、本場欧州の熟練スタッフを中心に約60ヵ国からなるプロフェッショナル集団により、質の高い映像が提供された)。

  • IBC (International Broadcast Center) 韓国 (ソウル)、日本 (横浜−パシフィコ):それぞれに臨時に設置したHBS国際放送局で、世界各国BPの要求に沿って、映像/音声の製作・編集・実況中継等を、日韓両国20ヵ所の競技場との連携の下に行うための、世界各国への放映/放送拠点。

  • FHRC (Finance & Human Resource Coordination):IBC/各競技場に1名ずつ配置され、以下を主業務としたアドミ−コオディネーション(裏方雑務)。
    (1) HBS現場活動の現金拠点(キャッシュマンの役割)(2) 拠点毎のHBSスタッフの勤惰管理 (3) 日当(Per Diems)スケジュール管理・支払い (4) 経費支払い許認可・管理D東京本社(HBS−Japan AG)への経理・業務報告

感想

 最初にABICより紹介された時は、「メディアスタッフ用の通訳兼雑役」程度の仕事と受け止め、久し振りの現場復帰と勇んで臨んだところ、場所が日本(横浜)という以外は、外国での短期プロジェクトにどっぷり浸かったという感じでした。

 欧米人プロフェショナルスタッフとの交流・親交も久方ぶりにエンジョイし、かつ大好きなサッカーの国際一流試合をほぼ全試合生放送で見ることができ、また、横浜国際総合競技場では、日ロ戦含め3試合もメディアシートで現場観戦の機会を得ました。

 IBC-Japanでの80日間の業務体験を通じて、今回特に感じたことを以下列記します。

  1. 給料とは別に全社員に日当が前払い(週単位等)で支払われ、社長からボランティア社員に至るまで、外国人・ローカル採用一律同額であった。
  2. プロジェクト会社の宿命で、分業が徹底している。つまり、縦糸を太く強くすることに傾注され、横糸の操作は一般企業より難しい。
  3. 従って、トップマネジメントが見切れない分、コーディネーション(横糸操作)の役割は重要となる。
  4. “Job Description”は、自分の仕事の役割を考える上では大切だが、仕事の範囲を制限するためのものではない。即ち、「プロジェクトを成功させるために」自分が何をなすべきか、何ができるかの方がより重要である(プロジェクトに仕事の垣根は不要!)。
  5. HBSのような外国のプロジェクト会社が日本で成功するためには、今回のような部分的なコーディネーションだけでなく、日本人をトップマネジメントの一角に含める体制が必要であると痛感した(日本の企業の海外進出においても、逆の意味で参考にすべき事例と思う)。
  6. 日本ならびに日本人のことが外国ならびに外国人にはまだまだ理解されていない! その意味でも、今回の「日本の発信」は大いに有益であったし、今後も発信し続ける必要があると思う。
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