マンスリー・レポート No.30 (2003年5月)
活動会員のレポート
  習志野商工会議所への中国語講座実施
   

高嶋 正文(元 三井物産)

 本年1月より3月までの隔週水曜日、5回にわたり、ABICと千葉県産業振興センターとの国際ビジネス支援契約に基づき、中国語講座を実施した。本年8月に予定している千葉県習志野商工会議所が主催する中国「遼寧省・山東省」工業視察の事前研修としての、中国語学習であり、14名の参加者の熱意は高く、終始熱心に講座へ参加してくださった。

 社長、課長、会議所員等忙しい方々ばかりの成人向けの講座であり、しかも5回という限られた時間である。そこでなんとか効果を上げるべく、いくつかの工夫をした。

授業風景(左端が筆者)

 第1に、語学習得にはネイティブ・スピーカーの純粋な発音を耳から聞いて覚えるのが一番と考え、帰国残留孤児の娘さんで、27歳まで中国人として育った福田宏美さんにアシスタントをお願いした。福田さんは標準語の発音がきれいなハルピン生まれで、帰国まで同市の高校で英語教師をしていた。中国の生活や文化的な背景を身につけた人から、生の発音を聞いていただいた。

 第2に、中国語は四声という声調があって難しいという概念を取り去ることである。確かに四声の学習は避けて通れないが、実際の会話では四声が均等に発音されるのではなく、イントネーションが大切である。まず簡単な会話を耳から聞いて、覚えていただくことから始めた。

 第3に、中国語の字母であるピンインに慣れるため、6つの基本的な母音と複合母音を合わせた37の母音×21の子音でできる400余りの発音を図表化して、系統的に覚えてもらうことにした。今後、自習するときに、自分で発音が再生できるようするためである。

受講生とともに(左端から3人目が筆者)

 第4に、漢字共有のメリットを生かして、日中共通の発音、類似した発音、類推できる発音などから、語彙を増やすことに努めた。政治、経済、科学に関する言葉になると、共通の単語が多い。漢字の中国読みに対する好奇心を持つこと等々をお薦めした。

 短い時間であるため、工業視察の事前研修の目的にできるだけ添うように、空港で、ショッピングで、会談等で実際に出会うような実用会話も紹介した。

 SARSで揺れる中国であるが、8月までにはこの不安が収まり、工業視察が実現するよう願っている。

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