マンスリー・レポート No.30 (2003年5月)
活動会員のレポート
  メキシコにおける日本食品の市場可能性調査
   

上田 勲(元 三菱商事)

 メキシコへのJETRO専門家派遣の依頼がABICにあり、スペイン語もできないのに、あえて応募した結果、商社の食品部門での経験が買われたのか採用された。派遣期間は本年3月13日〜21日の9日間で、派遣目的は日本食品の輸出可能性調査とグアダハラ市で開催された「食品見本市」での「日本の食」に関する講演であった。結局、講演は場所が取れずに中止となり、輸出可能性調査とJETROブースでのアテンドが仕事となった。

ウォールマートにて
ジェトロ中畑氏と(筆者:右)

 初めてのメキシコ訪問であったので、日本食文化がこれほど普及しているのには驚いた。ヤクルト乳酸飲料やサントリーのメロンリキュール「緑」の成功例あり、また米国産カップ麺は空港でもスーパーでも至るところで目に付いた。鉄板焼きを中心に提供する「サントリー」、「スエヒロ」および「弁慶」等の高級日本食レストランもすっかりと現地に根を張り、このような店で食事することが、一種のステイタスシンボルとなっている。

 同じ寿司でもにぎり鮨は好みではなく、カリフォルニア巻きがファーストフードの人気となっている。メキシコ国内には500店舗にも及ぶ日本食レストランがあると聞いた。日本食に対するイメージは、ヘルシー、高品質であり、パッケージがきれいで工夫がある。ただし価格が高いというところだ。

 学校では日本のことをほとんど教えていないそうだが、テレビをはじめとする電気機器やホンダの自動車、さらには子供用のゲームソフトが日本の印象を作り上げている。日本とドイツ製品は品質が良く、中国製品は使い捨てということである。

グアダラハラ近郊のレストランで
茶業組合の松延氏と

 メキシコの人口は約1億人であるが、貧富の差が大きく、中間所得層が伸びていない。レストランでの食事も含めてヘルシーな日本食を実際に購入できる人は富裕層に限られると言われている。メキシコはNAFTA加盟国であり、現在のメキシコ市場には、米国で販売されている食品および飲料はすべてそろっている。したがって、今後日本食品を販売するに際しては、価格的にも品質的にも国際競争力を持つ商品である必要がある。幸いにも日本食ブームはまだまだ続くという意見が多い。日墨間のFTA交渉の進捗にもよるが、輸入関税が大幅に下がるとすれば、日本食品のメキシコへの輸出の可能性は、メキシコ人の日本食に対する高い評価を勘案すると、かなり高いと考えている。忙しい9日間であったが、仕事の合間にメキシコ人の友人とテキーラを飲みながらマリアッチも楽しんだ。こんな機会を与えて下さったABICに深謝する。

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