マンスリー・レポート No.43 (2004年7月)
活動会員のレポート
  カンボジアでのJICA商業アドバイザーの活動を振り返って
    関本 喜茂(元 トーメン)
カンボジア商業省、JICA共催でセミナー「輸出振興と日本」を開催。右からJICA職員、商業省局長、筆者

 私は、2001年5月、カンボジア国の商業省輸出振興局にJICA商業アドバイザーとして派遣され、爾来約2年8ヵ月現地で活動し、2003年12月末帰国した。

 カンボジアの現状の一端と商業アドバイザーの活動について報告する。

 カンボジアは最貧国のひとつであり貧困削減が国家の至上命題となっている。そのような環境で貧困削減のための経済発展を図るには、輸出志向型産業発展を目指すべきであるとのいうのがほぼ共通した認識になっている。しかし現状ではカンボジアの輸出全体の75〜80%を繊維縫製品(年間15億ドル程度)が占め、続いて履き物(年間1億〜1.5億ドル)となっている。当該2品目以外は伝統産業である天然ゴム、木工品がそれぞれ数千万ドル程度出ているだけである。従いカンボジアの輸出構造は非常に脆弱であり、産業連関効果の薄い、根無し草型の外資の縫製業に大きく依存している体質になっている。

 一方、カンボジアは2003年9月のWTO閣僚会議で147番目のWTO加盟国として承認された(但しカンボジア国会の批准が遅れておりまだ正式加盟国とはなっていない)。ではなぜこのように早期の承認が実現したのだろうか? 複数の要因が考えられるが、筆者の見方は、グローバル化の進展する世界の貿易で、米国を中心とする先進国が最貧国を含む発展途上国をWTOの枠組みに取り込み、先進国のルールで発展途上国の経済発展を主導するという基本的な了解があってカンボジアをモデル国としてサポートし牽引したことが挙げられる。

 経緯はどうであれカンボジアは今後WTO協定に認められた最貧国としての特例を最大限活用し、WTOのルールに準拠した関連法案の策定を含む産業基盤の整備を進めていくことになる。

 このような環境で商業アドバイザーとしては、輸出振興政策の立案の支援をする場合、固定観念は許されず、あくまで当国の特殊事情を勘案した柔軟な対応が求められる。この点、常に現地対応が求められる商社時代の経験が役に立った。

 さらにカンボジアの特殊事情として優秀なテクノクラートが不足しており、その育成は急務であった。人材育成は他のドナーも注力していたが、筆者の場合も商業省の若手幹部候補生のキャパシティビルディングは任期中一貫して携わり、JICAの日本での研修プログラムとも連携し、研修効果の向上を図った。筆者が講師を務めた現地での研修も商社時代の海外経験、実務経験が大いに役立ったように思える。今後ともカンボジアとの係わりを続け仲立ちの役割が担えるようになれば幸せである。

カンボジア商業省幹部候補生に対する現地研修。中央が筆者 輸出振興セミナーで「カンボジアに世界規模の総合商社を」のタイトルでプレゼンテーションをする筆者
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