マンスリー・レポート No.49 (2005年1月)
活動会員のレポート
  サモア環境省での支援活動
    JICAシニア海外ボランティア
サモア環境省廃棄物減量化アドバイザー
志田しだ 正幸まさゆき(元 住友商事)

 住友商事を準定年退職後、JICAとの関係が今日まで継続している。退職後、JICA専門家としてバーレーン環境省の要請で同国の包括的環境基準の作成、ならびに廃棄物総合管理システムの構築を目的に1999年から2001年の2年間派遣され技術指導を行った経緯がある。今度は、JICAシニア海外ボランティアに応募し採用され、2003年から2005年の2年間、サモアの環境省に廃棄物減量化対策のアドバイザーとして派遣され今日に至っている。

 サモアに赴任して1年6ヵ月になり同国ならびに担当業務内容を紹介したい。サモアは南太平洋に位置する島国で民族的にはポリネシア人であり、人口は約17万6千人、総面積2,934km2(島根県より若干小さい)、年間平均気温は24〜28℃で乾期と雨期に分かれている。年間雨量は約3,000mm、当国最大の島サバイー(SAVAII)島および首都アピアのあるウポル(UPOLU)島には、在留邦人80余が居住している。1962年に南太平洋諸島で初めて独立を達成した若い国である。

「環境日」にコンポスターを展示

 サモアに限らず南太平洋諸島はMIRAB〔Migration(移民)、Remittance(出稼ぎ送金)、Aid(援助)、Bureaucratism(官僚主義)〕で成り立っており、財政的に他国の援助を期待している。サモアの例を紹介すると、日本の資金援助によりサモア国立大学、職業訓練学校、小・中・高校の数々、国際飛行場施設、港湾施設、南太平洋環境総合施設内トレーニング・センター、病院等が建設され、またそれら施設の管理運営を目的として、シニア海外ボランティア、青年海外協力隊員が派遣され、各種支援を行っている。

 サモアの廃棄物管理は、環境省の一部署である都市計画管理公社(Planning & Urban Management Agency)の管轄下で行われており、一般廃棄物の収集・運搬は業者に委託して行っている。処分は埋立方式であり、一般廃棄物は分別が行われておらず家庭から排出されるあらゆる物が含まれている。

 廃棄物の減量化対策として、同国に受け入れられ、かつ実効性が期待できる方策を現地職員と協議した結果、廃棄物中に占める有機性廃棄物(台所から出る食材残査、伐採草木等)のコンポスト化、ならびに空き缶のリサイクル化を図るべく企画し、現在実践を行っている。

環境省の現地職員との歓談

 空き缶のリサイクル推進に関しては、昨今の食生活の向上で輸入缶詰食品・飲料品類が増え、空き缶の排出量が増加しており、廃棄物中に占める容積が大きいため廃棄物の減量化対策として空き缶のリサイクルを企画した。必要機材(プレス機械、磁力選別機等)の導入を行い、今年度末にはサモアで初めてのリサイクルが開始される予定である。機材の購入は、JICAの資金援助によりニュージーランドの機械メーカーから調達を行うことで現在進めている。

 プレス梱包されたアルミ缶、スチール缶はニュージーランドもしくはインドネシアの再生業者に売り渡す方向で取り進めている。アルミ缶の売却利益は得られるが、スチール缶は市場価格が安く、輸送費等を差し引くと赤字となり、この取り扱いに課題が残っている。

 長い中東生活の後、緑豊かな常夏の島サモアで仕事、生活ができることは楽しみでもあり、得がたい経験と思っている。

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