マンスリー・レポート No.49 (2005年1月)
活動会員のレポート
  外国為替講座雑感
    澤田さわだ 豊治とよはる(元 住友商事)

 ABICに会員登録をして、まだ間もないころだった。ABICの大学講座担当コーディネーターの増田さんから電話をいただいた。早稲田大学エクステンション・センターで外国為替入門講座をやることになった。ついては“澤田さんにも参加してもらいたい”という話である。4人でやるオムニバス講座で、元丸紅の藤川一弘さん、元三菱商事の金井好弘さん、元日商岩井の日比野圭三さんが既に決まっていた。それにしても、なんで私などに声がかかったのか?

 為替実務を経験したのは入社して10年ぐらいまでだ。管理職になってからは上から見ているだけだった。それも遠い昔の話である。人に教えられるようなしろものじゃない。増田さんにその間の事情を説明して丁重にお断りした。ところが、「海外主管者として為替と付き合ってきたでしょう。そういった立場からの話をやって下さい」の一点張り。非常に熱意ある人で、一度言い出したら聞かない性質の人らしい。30分ぐらいああだこうだとやり合っているうちに、気が付いたら、「考えてみましょう」と言わされていた。

 引き受けてしまった以上あとには引けない。早速、紀伊国屋へ走って、外為と名の付く本を何冊か買い込んできた。職場の後輩を訪ねて話を聞いたりもした。昔懐かしい外為用語が何とか頭の中に戻ってきた。あとはどう講義するかだ。入門講座というものの、受講生のレベルがどの程度か全く分からぬ。自分なりにレベル1、2、3ぐらいに分けて準備するしかなかった。90分の講義に10倍ぐらいの準備時間を要した。

8月16日 早稲田エクステンション・センター
「外国為替・国際金融入門」(副題「いま、外国為替が面白い」)
講師:藤川一弘氏(元 丸紅)

 2002年4月15日が最初の講義だった。八丁堀にある早稲田大学エクステンション・センターへ行くと、30名弱の受講生が待っていた。現役の学生から、同年代のシニアに至るまでいろいろいたが、30代から40代のOLらしき女性が圧倒的に多かった。最初に「この講座を受講する動機は?」と質問を投げかけた。「外貨預金を始めたので、外為について勉強したい」、「為替を扱う部に配属されそうなので」、「商社の人の話に興味があったから」等々の答えが返ってきた。レベル1と判断して講義を始めた。経験談を織り交ぜながら、できるだけ硬くならないよう心がけた。高い授業料を払ってきた受講生だけあって熱心に耳を傾けている。あっという間の90分だった。初めての講座としてはまずまずの感じで、ほっとした。

 早稲田大学エクステンション・センターに続いて、明治大学リバティ・アカデミーから同じような講座依頼があり、やらせてもらうことになった。こちらも若者からシニアまで多彩な受講生が集まってくる。受講態度も真剣だ。講師を見つめる若い女性のきらきら輝く瞳に気づいたことも一度や二度じゃない。

 時勢のせいだろうか、外為への一般的関心の高さには驚かされる。専門的なことではなく、常識としての外為を知っておきたいということのようだ。お陰さまで2年半にわたって、早稲田と明治での講座が続いている。

 藤川、金井、日比野各氏との4人組講師陣も変わらない。今では楽しく語り合える仲間だ。時にはジョッキを片手に、次はどういう工夫を入れようかと真面目な打ち合わせもやっている。最初はしつこい人だと思った増田さんだが、そのしつこさのお陰で、楽しい仲間に巡り合えたことを今では感謝している。

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