マンスリー・レポート No.53 (2005年5月)
活動会員のレポート
  ブラジルでの日系人国外就労者情報・援護活動を終えて
    田中たなか 昭彦あきひこ(元 三井物産)
   

 ブラジル国サンパウロ市にある(社)国外就労者情報・援護センター(CIATE)専務理事として2年間(2002年4月〜2004年3月)勤務しました。サンパウロは約40年前、商社の若手駐在員として4年間勤務し、その後も仕事の関係で何度か訪問した所ですが、この度は利潤追求を目的としない分野での仕事を経験し、大変有意義であったと感謝しております。

 日本からブラジルへの移民の歴史はまもなく100年を迎えることになりますが、その間、移民の総数は約27万人に達し、日本移民達はその勤勉・誠実・向上心・モラルの高さからブラジル社会において高い信頼を得ました。特に子弟教育に熱心であったことから、子孫の中から裁判官、大学教授、弁護士、医師、大企業幹部等になり、ブラジル社会の中枢で活躍する人達も多く出ています。

 現在、ブラジルにおける日系人の数は約140万人と言われており、そのうち85%はサンパウロ州、パラナ州に居住しています。

 1980年代、ブラジルの未曾有みぞうの不景気と、一方、日本の好景気による労働力不足といった環境下、高い賃金を求めて就労を目的としてブラジルから日本へ渡航するいわゆる“出稼ぎ現象”が始まり、1990年の日本政府による「出入国管理法」改正施行を機に出稼ぎが急増し、現在、日本における日系ブラジル人の数は28万人近くに達しています。彼等の日本における就労分野は自動車・電化製品・製材組立、弁当加工食品等の単純労働部門ですが、今や彼等の存在は日本産業発展になくてはならないものとなっております。

 CIATEは、2002年、日本の厚生労働省と現地日系3団体(ブラジル日本文化協会、サンパウロ日伯援護協会、日本都道府県人会連合会)によって営利を追求しないブラジル社団法人として設立されたもので、事務所はサンパウロ市東洋人街のブラジル日本文化協会ビル内にあります。

 業務目的は、これから仕事を求めて日本へ渡航しようとする日系ブラジル人に対し、適正な就労ができるよう各種情報の提供、指導・援護ならびに就職斡旋等を行うことです。事務所での日常業務は窓口相談(Eメール、電話、手紙も含む)、求人雇用斡旋、定期講習会開催(日本における労働条件、年金保険、医療補償、教育制度、交通法規、一般生活慣習等)、専門家を招いての講演会、日本語教室、広報誌の発行、マスコミ他来訪者の対応等です。

 2ヵ月に1回、週末を利用して日系人の多い地域に出張する巡回講習会を開催しており、会場提供、参加者募集、ポスター配布など地元の日系人達の絶大な協力を得ています。中でも、日系人の多く居住する地域15都市に1名ずつ配置された15名のCIATEコラボラドール(アドバイザー)の活躍には目覚しいものがあります。コラボラドールは、日本での就労経験があり、地元での人望が高く、日本での就労を希望する人達およびその家族に対し、親身になって相談に乗れる人が選定され、その活動はすべて無給のボランティアです。年2回、サンパウロ市のCIATE事務所に全員参集し、研修会、発表会を開催します。

第3回全伯歌謡吟剣詩舞大会での詩吟

 私的生活においても、趣味の詩吟を通じて日系人社会の仲間に入れていただき、一緒に練習したり、全伯吟剣詩舞大会で共演したりといった楽しい想い出があります。

 日本へ帰国後、1年が経過しましたが、ブラジルにおける日系人の方々のますますの発展と、日本に来ておられる日系ブラジル人の方々の職場での労働環境ならびに家族を含めての日常生活環境がより快適で有意義なものであることを切に願っております。

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