マンスリー・レポート No.53 (2005年5月)
活動会員のレポート
  翻訳を通じて中小企業に貢献しています
    高木たかぎ 裕昭ひろあき(元 旭化成)
   

 ABICのご紹介で、中小企業が行っている海外取引に伴って必要とする、組立要領書、運転指導書等のマニュアル類の英訳、ホームページの英語版の作成などをやらせていただいた。多くの中小企業が、その優れた技術を有効に活用して、海外に事業を展開しておられるのに感動を覚え、自分がいささかでもお役に立つことができれば幸せと考えて、業務をやらせていただいた。

 今回、若干のスペースをいただいたので、翻訳という仕事をめぐるいくつかの点について自分の感じていることを述べさせていただく。

 まず、どこの企業でも、翻訳などというものは、単に機械的にやれば済むもので専門家に任せておけばよく、それよりも中身の方が重要だという見解で、この部分に必要以上の時間と労力を費やしてしまい、原稿が翻訳者の手元に届くのが期限ぎりぎりのことが多い。中身が重要なのは当たり前であるが、さりとて翻訳者は機械ではなく、書かれている内容を十分咀嚼しながら訳文をつくらなければならない。しかも、相手先に届くのは翻訳された版であり日本語の原稿ではない。従ってこの点に関しては顧客に十分理解していただきたいところである。

 翻訳には辞書が必要なことは言うまでもない。自分も以前は、IT用語辞典、その他幾つも用意して机の横において作業していたが、今では全く違う。第一、辞書をめくるのは億劫である。また、IT用語辞典などの例で言うと、技術の進歩が早いために、数年前の版では最新の語彙が入っておらず、役にたたないことが多い。その代わり、インターネットの発達に伴い、辞典だけでなくあらゆるジャンルの情報も、即時に、しかも必要とする言語で集めることができる。仮に、自分がその分野の素人であっても、これらの資料を駆使することによりカバーできることが多く、逆にこのあたりは自分の知識欲を刺激することになるとともに、海外の文献に使われている表現になじむ機会にもなっている。

 今日では、翻訳者が作成したものはそのまま企業の重要な書類になる。つまり、ファイナルである。原稿には、ワード文章だけの単純なものから、図面入りのもの、エクセルやパワーポイントを使って複雑なレイアウトをなしているものも多い。これらに英語をはめ込もうとすると、それなりの知識とPCを扱う技能が要求される。英文はどうしても日本語より長くなってしまうのでこれを決められたスペースに上手にはめ込むかに工夫を要する。このような翻訳以外の仕事で、翻訳以上の時間を割かれることさえある。コンピュータ時代の昨今、我々のような高齢者であろうと、PCとインターネットは自由に駆使できなければ受注はおぼつかない。

 ABICの会員の皆様の中には、言葉に練達の士が大勢いらっしゃると思う。連絡・交流しあいながらレベルを高め、中小企業に役立つよう貢献しようではありませんか。

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