マンスリー・レポート No.60 (2005年12月)
名古屋外国語大学「国際経営特論」好評スタート

 今やABICの講座は大学関係者の中では知る人ぞ知る存在になったが、多岐にわたる主題の中で貿易論、海外企業経営論、地域経済論の3つはどこの大学でも人気が高い。国際経験豊かな企業OBの中でもこのテーマならこの人という指折りの練達者がアドホックで繰り出す実戦のストーリーが学生を魅了するからだろう。

 今年は名古屋外国語大学国際経営学部で新しい試みがスタートした。『関西系総合商社』の著書で有名な辻節雄教授のご指導による「国際経営特論I」「国際経営特論II」で、前期、後期には分かれるが、本質的には通年の講座である。

 この講座はグローバルビジネスの最前線に立って、市場の開拓や現地の人々との交流、製品開発やマーケティングに努めてきた国際ビジネスマン諸氏(ABIC会員)が、実際に駐在し、生活し、ビジネスを実現した世界の地域社会の特徴と、それぞれの事業分野で関わりあったプロジェクトについて、オムニバス方式で学生諸君に語りかけ、将来国際舞台で活動したいという若人にエールを送ろうというものだ。

 前期は、辻教授がご自身の学生に対する思いを込めながら講義進行を見守ってくださる中、ABICから派遣された5人の講師が北米、中南米、オセアニアを中心に1人2時限ずつの講義を行った。

 日本製建材を米国で販売する中小企業の経営者としての苦心談、とりわけ慣習や文化の違いへの適応、成功の条件としての粘り強さには多くの学生が尊敬の眼とともに共感を寄せたし、米国の婦人衣料ビジネスの話では、米国のファッションの移り変わりと欧州ファッションとの比較や流通メカニズムの説明がたくさんの写真入りのパワーポイントで紹介され、特に女子学生から感激の声が上がっていた。

 また、日本車を中南米に輸出普及させたマーケティング・ストーリーでは、プエルトリコやコロンビアという普段なじみのない国の風物や生活、女性の社会進出は日本よりも進んでいるという話に強い印象を受けた学生も少なくなかったようだ。

 そして豪州については、同大学としての提携先でもあるので、実際に訪問経験のある学生も少なくなかったはずだが、ビジネスや経済との関連になると、初めて天然資源の重要な供給先であることを知ったこと、ブラジルについても日本との歴史的な関係、しかも農業分野についての日本の貢献と今後の資源供給国としての存在感について納得したことなど、学生からの熱心な感想文には講師一同も胸を熱くしていた。

 後期講座は欧州とアジアを中心に、すでに10月から進行中だが、英国での企業買収の経験、インドネシアと華人との結びつき、中国経済の現状と将来など多彩なテーマが展開され、学生諸君からの反応も手ごたえ十分だ。本講座が同大学の名物講座になるよう、われわれも最善の努力を惜しまないつもりである。

(大学等講座グループ・コーディネーター 増田 政靖)

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