マンスリー・レポート No.61 (2006年1月)
国際理解―高校教育と校外企業人講師の協力関係について
横浜商業高等学校国際学科の研究発表会に招かれたABIC講師
(小・中・高校向け「国際理解教育」グループコーディネーター)
藤村ふじむら のぼる(元 三井物産)
教え子の発表を参観するABIC講師

 2005年12月12日、横浜市立横浜商業高校の国際学科(以下Y校)にて生徒による研究発表会があり、ABIC講師が招待されました。国際学科は2003年にスタートし、その1年生の国際理解授業に「世界を知ろう」シリーズでABIC講師12人が派遣されました。このときの1年生が今3年生となり、それぞれが自主的に選んだテーマで研究した国際理解問題について、後輩の1、2年生を前に研究成果を発表するという授業に、当時1年生を教えたABIC講師も招かれたのです。

 教育というのは、高校なら3年という年月をかけてある目標を達成するロングランの仕事で、校外講師が出るのは年1回だけですが、ただ講義すればよいというものではなく、それがどのような教育課程の中でどういう役割を果たすのかを、校外講師が認識して講演・講義を行うことが重要と常々考えてきました。今回そのフルーツを見る機会ができたので、2003年度に担当した講師に声をかけたところ、授業が朝早いにもかかわらず6人の講師が参加されました。

 授業は階段式の視聴覚教室で行われ、4人の3年生講師(いずれも女子生徒)が次のような自主研究テーマの発表を行いました。「アイヌ民族の独自文化と彼らが受けて生きた迫害」「開発途上国の子どもたち」「世界における地雷問題」「韓国の日本に対するイメージ」。

生徒の発表と質疑応答

 決められた時間は1人15分間、10分経ったとき、先生がチーンとチャイムを鳴らすと後5分で終えなければなりません。各自はA4 1枚に要領よく要旨をまとめたレジュメを直前に配り、パソコンを駆使して、スクリーンに説明や写真を次々に映し出して、実に堂々と発表していました。レジュメは穴埋め方式に作られており、講義を聞いてないとよく分からなくなる、これは上手い方法だとABIC講師が感心することしきりでした。

 全部の生徒が決められた時間内に発表を終えたのは見事でした。また各自発表後1、2年生からの質問を受けたのですが、その受け答えも「知らないことは知らない、自分はこう考える」というしっかりしたもので、生徒の成長ぶりにABIC講師一同すっかり感心しました。

 国際学科の目標は「国際感覚」「コミュニケ−ション」「問題解決」の3つの能力の育成滋養です。このハキハキ意見を述べる生徒たちを見て、先生達の目標は達成されたと申し上げました。私達企業人がどのように教育にかかわればいいのか、一生懸命考えながら3年間取り組んできましたが、一番の成果はY校の催しに3年前の講師が朝早くから駆けつけたという、授業を愛する企業人と学校との心の交流関係ができたことではないかと思います。これからも受け継がれていくであろう小さな国際人の卵の育成に、このようなABICの企業人による教育協力関係が続くことをコーディネーターとして心から念願するものです。

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