マンスリー・レポート No.62 (2006年2月)
活動会員のレポート
  商社マンから大学教授へ…!
    帝京大学経済学部教授 志賀しが たかし(元 伊藤忠商事)

 1月12日(木)4時限目の授業が、無事に終わった。なんとも言えない充実感、内からこみ上げてくる満足感が心地よく全身を走った。2005年4月より、期待と不安を感じながら恐る恐る引き受けた、帝京大学経済学部新米教授の初年度最終講義が終了した、記念すべき瞬間であった。

 一昨年の夏、ABICより1通の案内をいただいた。「来春より帝京大学で教授職1名を募集する」とのことである。そのとき、私は65歳。サラリーマン生活最後の勤めを終え、これからは好きなことをしたいと思っていた。その中の1つが、若い人と接点を持つことであったので、迷うことなく応募した。

 2005年4月1日、帝京大学経済学部経済学科教授の辞令を受け、3教科4講座を受け持つこととなった。私の担当教科は、「企業戦略論(3、4年生)」に「英語経済文献1&2(2年生中心)」と「文章表現(1年生必須)」で、週に4回の授業を行うというもの。1回の授業は1時間30分で、週に合計6時間、年間だと30週で合計180時間になる。この時間は教壇に立ち、ほとんど1人で話し続けるというのは相当な肉体労働であり、加えて教科ごとに、年間30週の講義内容を作らねばならず、不慣れな新米にとり初年度は何とも忙しく働いたとの実感が残った。

 1年間を振り返っての率直な感想は、若い人たちと身近に接することで、彼らをより理解でき、より好感を持つことができたことだろう。われわれ大人は、大胆に激しく変わっていく若者のファッションや外見の奇抜さに驚き、一部のマスコミ報道に踊らされて、「今の若い者は」と不必要な距離を置くことが多い。確かに教室内で、帽子をかぶる、飲み食いをする、私語はする等、当初はあきれることもあったが、一度二度明確に注意をすると、驚くほど従順に守る。極めて素直である。小、中、高校で教えるべきときに教えてない、叱るべきときに叱ってない大人の責任が大きいのではないだろうか。

 この4月から、新聞を中心に、生きた企業経営戦略を学ぶゼミナールを開講することになった。教師と学生、また、学生同士で討論、議論をする場の必要性を感じたからである。通常の授業では、人数が多く、双方向の意見交換や討論はほぼ不可能であるため、学生にその点を力説し、志賀ゼミの学生を募集した。経済学部に約30ゼミのある中で、新設の志賀ゼミの応募者数が2番目に多かった。学生もこのようなゼミを求めていたのだと、この結果にわが意を得たりと思い、しっかり取り組むための準備に取りかかり始めた。

 ABICの会員がその幅広い生きた体験を、分かりやすく具体的に学生に教えることは、非常に意義あることである。長年培われた経験やその経験に裏打ちされた講義は、今後ますます大学教育の中で重要視されていくことだろう。

 そのように考えると、私も先達の1人として責任の重さを感じ、身の引き締まる思いでいっぱいである。

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