マンスリー・レポート No.64 (2006年4月)
活動会員のレポート
  宮城県企業誘致担当として2年
    宮城県東京事務所参与 みす 政之まさゆき(元 丸紅)

 丸紅を卒業してボランティア活動でもやろうかなと考えていた一昨年の春、ABICからのメールで宮城県が企業誘致の嘱託を募集していることを知った。そのような業務の経験は全くなく自信は無かったが、社会人としての長年の経験と人脈を生かした業務とのことであったので、取り敢えず手を上げたところ、直ぐに決まってしまい、2004年4月から東京事務所に週3日勤務することになった。後で知ったが、宮城を含め多くの地方自治体が我々のような民間出身者を企業誘致などの産業振興分野で雇用し始めているとのことであった。

 最初に仙台の本庁で講習を受け、関係施設を見学したが、さすが東北の中心だけあって東北大学との産学官連携の体制も整っていることなど企業誘致しやすい環境があるという印象であった。ただ県内には42の工業団地があり、販売中ということでこれは大変だなとも感じた。県が誘致に力を入れている重点4分野(食料・IT・医療福祉・環境)を中心に、最初は自分の知っている企業あるいは工場建設のニュースがある所は丸紅などから紹介してもらい訪問したが、なかなか脈がありそうな企業が見つからなかった。当時はシャープの亀山進出が企業誘致として話題になっていたが、これはあくまで例外的なケースで、大半の企業は新工場建設をするとしても中国など海外を考えていたようだ。

 ところが半年位経った頃、ある食品流通業者が現地のスーパー向けに配送センターを作ることとなり、その土地探しのお手伝いを始めた頃から様子が変わってきた。我々も手持ちの工業団地を紹介したりしたが、民有地の情報も集めることとなり、ゼネコンなどと接触したところ、結構多くの企業が宮城県への立地を検討しているらしいということが分かってきた。このため従来より幅広い分野の企業を対象とし、また外資なども訪問して情報収集に努めた結果、立地しそうな企業が数社現れ、いくつかが立地を決めた。

 また、各自治体には誘致企業に対する助成金制度があるが、実際に進出しても最近の傾向として自分で工場・倉庫を建てずリースすることが多く、助成金の対象外になることが多い。宮城県の制度も同様であったので本庁とも相談し、実勢に合わせるように改め、リースする場合でも雇用人数に応じて助成金を付け、進出企業に喜ばれるようにした。

 さらには、都内の中小・中堅企業の多くは移転したが、まだ残って操業を続けている企業もあり、周辺住民からのクレームや諸々の規制の強化で移転を迫られているケースが出てきている。そのような企業へのアプローチの戦略を考えたり、あるいは直接企業誘致には結びつかないが、企業訪問で得た県に役に立ちそうな情報を提供するなどしている。

 契約は、最初1年契約であったが延長され、さらに2007年春まで更新されることになった。今年は、また新しいターゲットを考え挑戦したい。過去2年を振り返ると、最初のころ立地は海外しかないという反応のみであったものが、最近は景気も良くなったのか、企業の方から土地の引き合いがくるなど環境も変わってきており、追い風が吹いてきたようだ。毎年いくつかの自治体が新たに募集しているので、皆さんもトライしてはいかが。

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