マンスリー・レポート No.67 (2006年7月)
活動会員のレポート
  大阪地区での中小企業支援活動に参加して
  中込なかごめ 喜雄よしお(元 住友商事)

勤務するに至った経緯と仕事の内容
 現役を退き、時間的余裕のあった3年前、ABICより「中小企業の海外販路開拓の支援をしてほしい」との話が入り、現役時代関西地区の鉄鋼二次製品の輸出業務が主体だったこともあり、昔の経験が役に立つならと引き受けた。
クリエイションコア北館(左)と南館
クリエイション・コア ホームページより)
 かつては隆盛を誇った関西の中小部品メーカーも、大手企業の海外進出増加に伴い、12,000社あったものが現在では7,000社に激減している。この事態を打開し、中小企業を活性化する目的で、大阪府が主体となり中小企業支援策として打ち出したのが、2003年8月にオープンした「クリエイション・コア東大阪」(クリ・コア)である。テレビ、新聞でもよく報道されておりご存知の方も多いと思うが、一般的には「河内」として知られる東大阪市役所の隣に新設された4階建てのビルは、日本で最初の、中小企業200社の常設展示場と12のインキュベーション・ルームを備えた中小企業支援機関であり、優れた技術・製品の情報発信と「ものづくり」に関する総合支援センターである。
 われわれABIC会員4名が活動する販路開拓コーディネーターとしての主要任務は、海外からの各種引合・質問の翻訳および回答作成である。展示200社の製品が写真付きでクリ・コア独自のホームページに掲載され、全世界に発信されている。これを見て、世界各地より毎月60〜70件の引き合い、問い合わせのメールが入るが、これらの入電メールを翻訳のうえ、出展企業に送り、必要に応じて契約段階に至るまでバイヤーとの交信を肩代わりし、専門商社を紹介し契約業務を遂行させることである。幸いにも過去3年間ですでに出展企業の数社は米国、欧州向けに継続輸出取引の実績を上げることができたのは大きな喜びである。
 また、海外経済ミッションの来館も極めて多く、展示品の説明をはじめ出展企業とのビジネスマッチングの依頼もあり、マレーシアの自動車部品メーカー20数社との商談会も開催した。

東京一極集中打破のための大阪府の産官学の取り組みの実態
 全般的には東京に大きく後れをとる関西ではあるが、現状打破のために関西の中小企業は「ものづくり」に徹している。しかし、自社製品の品質改良への意識が高く、有名大学工学部との共同開発意欲は高いが、実際上どこに相談に行けばよいのか分からず、言葉だけでほとんど実行されていないのが実態であった。この要望に答える形で2004年8月に京都大学、大阪大学、同志社大学、関西学院大学など関西の大手13大学のリエゾン・オフィスを完備した別館が新設され産官学連携も本格的に軌道に乗りつつある。

大阪の中小企業の動き
 自社の製品を名指しで購入したいとの海外よりのメールを手にすると、従業員一同、品質向上への意欲をかき立てられて社内のモチベーションは高まる。すぐに輸出契約ができなくても社員の意識改革につながることにより、商社OBによる海外販路開拓支援の効果は高く評価されている。従来、大阪の中小企業は大手企業の下請けに徹していたが最近は最終製品そのものの製作依頼が増えている。これを達成するためには各種異業種部品メーカーの相互協力が必要となり、すでにいくつかの異業種グループが立ち上がり、活発な受注活動を展開している。これを象徴する動きはすでに広く報道されている通信衛星「まいど一号」の製作である。

 この仕事に携わった当初は戸惑いもあったが、われわれ商社OBのオーガナイザーとしての力は大いに必要とされていることを知り、今後とも機会があれば中小企業支援事業に微力ながら注力していきたいと思っている。

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