マンスリー・レポート No.69 (2006年9月)
活動会員のレポート
  案件発掘専門家
安達あだち 俊雄としお(元 住友商事)
大分県の異業種交流会でジェトロの案件発掘支援事業の説明をする筆者

 考古学者と間違えられそうですが、これが私の肩書きです。昨年5月、野津前事務局長からジェトロが「輸出有望案件発掘支援事業」という新規事業で数名の専門家を公募している、「機械・部品分野 九州・沖縄地区」専門家として応募しないか、とのお誘いを受けました。優れた商品を持ち輸出の意欲もあるが経験がない、担当する人材がいないなどの理由で輸出を躊躇している中小企業を地域の中から探し出し、専門家を通じてジェトロの従来の支援策以上の具体的な支援を提供するという趣旨です。

 専門家の活動内容は公募要領によれば、「…地域を回って有望な製品・企業を発掘するとともに、発掘企業の『海外本部長』的な役割を担い、有望なバイヤーを探し、成約に導く…」とあります。詳細は分からないが、イメージとしては商社マンをもう一度やればいいのではなかろうかと理解し、応募したところ幸いにも採用されました。

 かくして、昨年はジェトロ福岡、今年はジェトロ大分を拠点に担当地域内を回り活動しています。とにかくよく動く仕事で、九州域内だけでなく、タイ、インドネシア、インドに支援企業の方と出張し、個別商談や市場調査のお手伝いもしています。この仕事がスタートして約10ヵ月ですが、歩き回ってみると、これまでの顧客であった大手メーカーが中国に生産拠点を移したのでどうしたものかと悩んでいる下請けメーカー、英文のホームページを作ったらすぐに海外から引き合いが入ってきた工場、老齢の社長さんがジェトロの貿易セミナーを受講し、海外に見積もりを提出して商談に入った小規模メーカーなどの事例に頻々ひんぴんと遭遇します。

 貿易は、今や一部の大会社や特別な会社だけが行うものではなく、地域の中小企業にも身近なものとなっており、商品、意欲があれば容易に参加でき、機会も増えているということを痛感します。今後、FTA、FPAが推進されれば、ますますこの度合いが進んでくるものと思います。しかし一方では、さまざまな理由から貿易に踏み出せない中小企業が多くあるのが実態です。ここにこの事業の意義があるものと理解します。最終目標は支援を通じてその企業に成約をもたらすことですが、それだけでなく専門家として民間企業の商活動を成約までお手伝いすることで従来にない要素をジェトロにフィードバックすることができれば幸いと考えています。

 理想はともかく、各専門家は一応商談件数、成約件数の数値目標を背負っており、その達成に向けてできるだけ効率のよい運用をしなければならないのも現実です。多種多様な商品が現れるのでその有望性の目利きには確信がなかったり、ほとんど一夜漬けで装置のメカニズムや専門用語を勉強したりしなければならない局面もありますが、この仕事を通じて中小企業の貿易の最先端の現場に参加し、多くの企業や人、そしてさまざまな状況に出会えることは私にとって大いに勉強になりありがたいことだと感謝しています。

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