マンスリー・レポート No.70 (2006年10月)
  日系ブラジル人子弟支援プログラム
  ブラジル人子弟支援チームコーディネーター もり 和重かずしげ(元 三井物産)
サンパウロ校(安城市)へ寄贈したPCを使う生徒とコーディネーター3名(筆者中央)

 現在、海外からの労働者は約200万人に達していると言われ、そのうちブラジル人が約20万人で家族を含めると30万人強の日系ブラジル人が日本に居住している。彼らが、自動車、電機、ITの下請部品産業や食品加工業を支えていることはあまり知られていない。工場所在地の愛知県、静岡県、群馬県、長野県、滋賀県、岐阜県などの15都市に集住しており、文化の違いによるさまざまな問題が発生している。

 日系人とはいえ、そのほとんどは日本語能力が不十分であり、まして帯同している子弟の日本語力はそれ以下である。日本の学齢期に相当する子弟(6〜15歳)の数は、約26,000人と推定され、3分の1はブラジル人学校、3分の1は日本の公立学校に就学している。残りが不就学か不登校で不良化の温床となり、集住都市の青少年犯罪の7割がブラジル人によるものと言われ社会問題化している。

 BRICsの一角を占めるブラジルと日本との関係は、明治時代の集団移民に始まり、2008年に100周年を迎える。ABIC会員会社の三井物産はブラジルとの関係が古く、既に戦前から輸出入の取引があった。近年は取引関係も急成長し、一昨年来ブラジル社会に貢献する手段を模索しており、ABICにもアドバイスが求められた。したがい、社会問題化している青少年犯罪を防ぐためにも、子弟の教育問題への支援が適切であろうとのアドバイスを行った。

サンパウロ校(安城市)へ寄贈されたバスの前で喜ぶ生徒
アウレオ校(名古屋市)
寄贈した楽器を演奏する生徒

 日本の公立学校は外国人子弟の受け入れはしているが、受入体制や日本語教育制度は十分ではない。一方、約80校の在日ブラジル人学校も私立校なので日伯政府の援助がなく、施設、設備もお粗末かつ授業料が高い。実際、子供達にしわ寄せがきて十分な教育を受けずに成人になるケースが多くなっている。したがい、在日ブラジル大使館や在日ブラジル商工会議所などとも相談の結果、三井物産は2005年度にまず在日ブラジル人学校4校への教育備品供給を決定した。ブラジル政府および日本政府の承認を得ている19校から必要備品の提案をもらい、上記関係者による評価の結果、ピタゴラス校(群馬県)、コレジオ・サンパウロ校(愛知県)等4校への支援が決定した。

 供給対象はコンピュータ、オーディオ機器、楽器、IT関連機器、送迎用バス、実験器具、書籍、内装・改修工事など多岐にわたり、かつ交渉や書類がポルトガル語になるため、契約書作成から納入までの実行業務をABICが受託することになり、活動会員のブラジル駐在経験者からなるチームを編成し実施にあたった。備品の納入は予定どおり本年3月末で完了した。

 備品納入の実査のため各校を訪問した際に、新しい設備やPC、教材などをうれしそうに使いながら「ありがとう」と言われるたびに、大きな社会貢献を果たしているという実感を肌で感じた。

 三井物産の「ブラジル人子弟支援プログラム」は2006年度も継続し、さらに公立学校に就学する子弟への教材作成のプロジェクトの推進も決まったので、これにもABICとして協力を続ける予定である。

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