マンスリー・レポート No.72 (2006年12月)
  マレーシア家具促進機構の九州家具市場視察に同行
  金高かねたか 正明まさあき(元 伊藤忠商事)

 ABICコーディネーターの大道豊彦氏からの紹介により、マレーシア家具促進機構(MFPC:Malaysian Furniture Promotion Council)の九州家具市場調査およびマレーシア家具販売促進の官民一体の代表団の九州訪問に通訳として8月1日より3日半同行した。以下は、素人通訳体験記である。

 小職は伊藤忠在職中、エネルギー化学機械部門の担当でマレーシア、インドネシア、韓国、インド、台湾等に度々出張、サウジアラビア、アメリカに合計11年間駐在した。またアジアビジネスセンターの役員として出向中に、アジアと九州のIT産業の交流フォーラムを福岡にて主催し、マレーシアよりマハティール首相、その時閣僚であったアブドゥラ現首相、ラフィーダー通産相等を招聘、マハティール首相に基調講演をお願いした。九州支社在職中にはマレーシア、インドネシアより大川市(日本一の家具製造業者の集合地帯)の家具製造会社にKnock-down家具の開発輸入に従事した。この度の通訳の仕事は大役とは思ったが、上記の経験もあり、また国際貢献の一助になるならと思い、引き受けた。

 MFPCは、マレーシア政府の外郭団体でかつて日本への輸出シェアはトップであったが、現在は価格面で中国、インドネシア、べトナムに後れをとり、その地位は7位まで後退している。このため対日輸出を強化すべく、九州地区の有力家具卸、小売、製造業者の視察ツアーを実施した(全日程8月1日〜8月5日)。

 8月1日の来福初日、福岡空港にて面会した一行は、マレーシア政府高官であるアブドゥラ団長の他、マレーシア家具協会のスタッフ、家具製造業者や資材メーカーなど様々なジャンルの団員、そして日本側の案内役の東洋ファニチャーリサーチ阿部野社長ほか総勢25名であった。それに対し通訳は小職一人のみで、このことは当日まで全く知らず、大変ショックであった。

ショールームにて(左から2人目筆者)
写真提供 (C)ルームファニシング

 福岡空港より貸切バスにて門司の巨大ショールームとテント倉庫の家具卸業者を回ったのを皮切りに大川市、佐賀市、福岡市とタイトな日程にて工場見学、店舗訪問、商談会をこなし、夜は九州家具協会長や訪問先の役員を招待しディナーパーティー、懇談会と続く炎天下の3日半の通訳業務に、体力、気力がもつのか心配した。しかしながら、団員の方々の商売熱心、真面目な対応に心動かされ、商社マンとして悪戦苦闘していた現役時代を想い起こしつつ、また日頃のゴルフの鍛錬もあってか無事乗り切った。

 3日半の短い付き合いであったが、最後の総括会議では通訳というよりは視察の総括や商談のコンサルタント的な役目も任され、大変楽しく有意義な日々であった。

家具製造工場を見学した一行(右端筆者)
写真提供 (C)ルームファニシング

 余談であるが、団長と東洋ファニチャーリサーチの社長はゴルフがシングルの腕前で、ゴルフ談議に花が咲いた。団長より『おみやげに中古のアイアンセットを3セット、自分用にミズノのドライバーを1本購入したい』との依頼を受け、私の懇意にしている市内のゴルフショップに同行、破格の値段で購入できたこと、またTOTOの最新の便座も欲しいというので地元のDiscount Shopを紹介、ねばりにねばって予算内で購入できた。大変満足されたせいか最後の晩、MFPC役員全員参加のDinnerの接待を受け、マレーシア茶のお土産まで頂き再会を約束させられた。

 炎天下の上、慣れない素人通訳で、専門外の商談、1対25の対面等で心身ともに疲れたが、ABICの一員として誇りをもって損得なしに従事できたのは、小職のつたない通訳にも文句を言わずフルサポートしてくださった団員の皆様のお陰だと感謝している。

 最後に、ABICの大道コーディネーターはじめスタッフの皆様からご支援を頂き重ねて感謝申し上げる。体力の続く限りABICの会員として少しでも国際貢献ができればと念じている。

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