マンスリー・レポート No.85 (2008年1月)
活動会員のレポート
  青山学院高等部での初講義を終えて
  岡本おかもと 靖彦やすひこ(元 三井物産)
 

2007年春、ABICより青山学院高等部での初講義の講師募集があり、講義概要を記して応募したところ、先方から指名されたとの連絡を受けた。6月26日に「最近の世界における米国を考える」と題して講義を行なった。青山学院大学での講義経験はあるとはいえ、付属高等部へのABICからの講師派遣の嚆矢となるため、不安と緊張感を持って2時限に亘る講義に臨んだが、3年生の男女生徒諸君約50名が終始熱心に耳を傾けてくれたので胸を撫で下ろした次第。
どんな講義を行なったかについては、小生がくどくど述べるよりも、後日送付されてきた生徒の赤裸々な感想文を読んでもらった方が良いと思われるので、以下にアトランダムにピックアップした6人分を紹介したい。

  • 「今の世界に与える米国の影響力、存在の大きさを改めて感じた。歴史的背景、外交など様々な視点から米国について考えることができた。また米国の成長過程を見ることで、現在のグローバリゼーション時代における世界の姿を考えるきっかけになった。一番印象に残ったのは、世界に様々な宗教・価値観が存在し、それを知ることは国際社会を理解する上で非常に重要であるという指摘だった。熱のこもった非常に有意義な講義であった。」
  • 「非常に興味深かった。力強い話し振りがすごく聞く側を引きつけて離さなかった。話もくわしくて判り易かった。米国の体制とイスラム諸国特にイラクの体制の違いがすごく興味深かった。米国が無理矢理にイラクに民主主義を強要しても、血縁主義のイラク社会にはなかなか受け入れられないだろうということを始めて知った。」
  • 「岡本さんの海外での実体験を踏まえた9・11事件の説明や米国の独立から現在までの歴史的経緯を解説してもらい、今までよりも米国をよりよく理解できたと思う。ぼう大な情報量の話であったが、判り易かった。“米国を縦と横の双方から理解しよう”という説明が具体的でよく判りました。授業は、とても熱く激しくてよかった。」
  • 「米国から中東までの社会的特徴などがよく判った。日本は石油の90%・LNGの22%を依存している中東イスラム社会のことをよく理解すべきことを知った。また、資本主義の勝利を予言したフランシス・フクヤマやイデオロギーの対立から文明の衝突の時代が来ることを予言したサミュエル・ハンチントンの話を聞き、両人はすごい人物だと思った。これからは単独行動主義よりも国際協調主義を重視し、世界各国が仲良くすることが重要であると思った。」
  • 「数字をたくさん出して、具体的な話をしてもらったので、とても判り易かった。最初は経済の話だったのに、気がついたら政治の話になって、流れがごく自然だった。講義を聞いて、米国のすごさやスケールの大きさを知ったが、何より、自分の知識量の少なさに驚いた。米国に対しては“経済大国”“軍事大国”“多民族国家”というあいまいなイメージしか抱いていなくて“何が”“どのように”という具体的な知識が抜け落ちていたが、それが埋められた気がする。また米国のみならず中東諸国など他国の文化を理解することが重要であると思った。」
  • 「とても熱い講義でした。普通の授業では得られないぐらい専門的で興味深い話が聞けてよかったと思う。縦と横の歴史で見る米国やイスラム社会に住む人々の根本的な考え方など、とてもためになる知識が得られたので、これからの政経などの授業に役立てたいと思う。」

大学と同様、高校においても、われわれ商社マンOBによる長年の国内外での豊富かつ貴重な体験談に基づくリアルな講義が、聴講者に普段の授業からは得られない驚嘆と感動を与えるものと思われる。青山学院においても、高校から大学まで一気通貫でABIC講座が継続的に常設されることを祈って止まない。

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