マンスリー・レポート No.87 (2008年3月)
活動会員のレポート
  グアテマラでのシニア海外ボランティアの2年間を顧みて
    前川まえかわ 惠次しげじ(元 豊田通商)

早期優遇退職制度を利用して仕事を離れた当時から海外でボランティアの仕事が何かできないかと思っていた。それが退職して直ぐにABICへ登録加盟した理由の一つでもある。
JICAのシニア海外ボランティア(SV)のことも知ってはいたが、募集要項を見ても自分には特殊な技能知識が無く、無理だと諦めていた。それがグループコーディネーター(現在は呼称が変わって渉外促進)という私にもできそうな新規の募集があることを知り、早速応募したところ採用された。

JICA経由でグアテマラ経済省から依頼された品質管理体験談を2006年全国品質会議で講演する筆者

2006年4月にグアテマラに赴任し、1944年創立という歴史ある国立中央農業学校に派遣されている2人のSVを学校側との交渉等において言語面で支援するのが私の受け持ちであった。お一方は学校に新設された大学教程部門における木材加工部門のDidactico(授業カリキュラム)マニュアル作成が仕事で、担当の先生との打ち合わせの際の通訳、更に日本語で作成されたマニュアルのスペイン語への翻訳が私の任務であった。もう一方は食肉加工専門の方で、学校に新設される食肉加工工場に関しての助言をしており、私はその通訳を務めた。これらの役目の他に自分自身の目標として、新規SV案件の発掘を考えた。

グアテマラの地理、社会情勢等に興味のある方は、インターネットを利用すれば山のように情報が検索できるので、私は自分が見たこと感じたことを通してこの国を紹介したいと思う。

赴任先の国立中央農学校(創立1944年)
学校に通う途中で毎朝見る通勤バス

2006年3月末、改修中でごった返す空港に到着した際、まずこの温暖な気温に驚いた。以来2年近く首都グアテマラ市の近郊に住むことになったが、普通の生活をしていればまず汗はかかない。世界地図で見るとあの熱帯のバンコックとほぼ同じ緯度に位置しているが、標高が1,500mぐらいあるので涼しい。年がら年中20度前後の気温であるから、私のようなシニアには最高の気候である。

次に驚いたのはこの国の自然の豊かさである。首都をはじめ主だった都市は山間の盆地に位置しているが、周囲の山々も緑豊かな樹木で覆われている。地方にドライブすると、遠くの山裾まで広がる段々畑や山々の峰が連なる大パノラマを堪能できる。車窓に見える景色は正に墨絵の世界そのものである。冷涼な気温は葉物野菜の栽培に適していて、日本とほとんど同じ野菜が手に入る。

グアテマラ市から車で30時間ほどのところにあるアティトゥラン火山とトリマン火山が連なり、世界で最も美しいと言われている

3番目に驚いたのがこの国の人達の挨拶である。グアテマラ市のような大都会でも街角やビルのエレベーターに乗り降りする際に人々は皆声を出して挨拶する。ましてや、私が住んでいるグアテマラ市近郊にある古都アンティグア(世界遺産)では、街角で立っている物売り、門番、誰でもすれ違う人は皆目が合えば必ず挨拶する。
家内の方はすんなりとこの習慣に馴染んだようだが、日本の俗社会に慣れている私には、最初はなかなか返事することができなかった。どうしても何かあるのでは、と勘繰ってしまう。日本でも昔はこういった習慣があったと思い出すのに時間がかかった。全く見知らぬ人でもこうして会釈して挨拶を交わすことで、その日一日が楽しくなる。

グアテマラの人達は、決して生活は楽ではないはずなのだが実に屈託がない。一方で、他のラテン系の人たちと違ってグアテマラ人はどちらかと言うと内気な感じで、取っ付きは悪いが、一旦仲良くなると本当にいい人達である。それが日本人がもう一度訪れたいとよく言う理由なのだと思う。この年になって思いも寄らず、こうした貴重な経験ができたことを大変感謝している。

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