マンスリー・レポート No.87 (2008年3月)
活動会員のレポート
  ベトナム・ダナンでの小・中学生への日本語教育
    伊藤いとう 修博のぶひろ(元 住友商事)

私は今ベトナムのダナン市にいる。ベトナム中部の海浜都市で、ベトナム戦争時代米軍の基地があったところである。住友商事が社会貢献活動の一つとして2年前に始めた“日本語を核とした日本文化交流プロジェクト”に携わっている。住友商事がABICにコンタクトして小生に打診があったご縁である。

この背景には、ベトナム政府が日本政府の支援を受けて4年前から試験的に中学校で日本語科目を導入しており、住友商事もそうした両政府の取り組みに沿って、このプロジェクトを実施した。そして、今後、日本企業も進出し、急速な発展が見込まれるダナンに日本語と日本文化に触れる教室を開講することを決めたものである。

あやとりを教える筆者

ベトナム中部にも日本語学科を導入した中学校が4校(ダナンに2校、フエに2校)あるが、住友商事の教室は、これらの生徒は対象外で、普通の中学の課外活動の一環として始めた。現在2学年、約85名の子供たちがこの教室で学んでいる。年齢的には日本の小学6年生から中学3年生までと幅広い。

ここダナンでも日本語熱は高く、だいたい募集人数の3倍くらいの応募がある。日本、特に工業国日本に対する関心も高く、親日的と言える。ベトナムというお国柄、そしてその中でも地方都市ということもあって、ここの人々、特に子供たちの純朴さには、すでに日本から失われて久しい温もりが感じられる。

真剣なまなざしで
あやとりを習う生徒たち
日本食体験

また、まだ物資に溢れた社会ではないので、何かに接したときの彼らの感動と、それを率直に表す言葉には、逆に感動させられる。日本での教師経験者がそのような光景に接し、「折り紙1枚を貰って喜ぶなんて、日本ではとても考えられないことですよね。こういうふうに反応されると、もっと何かをしてあげたくなりますよね」と語っていたが、私はお蔭様で毎日のようにこのような経験をしている。

また、ダナン大学日本語学科の講師(昨年同学科を第一期生として卒業)や同学科の4年生にアシスタントとして、また3年生の3人には折り紙教室のアシスタントとして手伝ってもらっている。このような人たちにも、私からそのレベルでの日本語および日本文化伝達のお手伝いをしており、これが将来日本文化の更なる紹介に寄与してくれることを楽しみにしてやっている。このような環境下で日本語を教えることができ、そして少しずつであるが日本文化に触れてもらえることは日本語教師冥利に尽きるといってもよいと思う。

昨年の夏休みに筆者自宅へ集まった生徒たち

商社現役時代からの私の持論であるが、“日本のODAの半分くらいは日本(語)教育に当てたほうがよい”と思っている。国際化時代・外国人労働に多かれ少なかれ頼らざるを得ない時代を迎えて、日本理解を得るのに最も歩留まりのよい手段であり、特に日本へ招聘したときの歩留まりはとても高いレベルにあるからである。日本の公的機関はもちろん、民間にも、もっとこの点を考えてもらいたいものだと思っている。

最後に、ABICの皆様には釈迦に説法かと思うが、ベトナムは大乗仏教の国で、中国に約千年間支配されていたこともあって、今なお中国文化が色濃く残っている。約百年前までは漢字文化圏であった。

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