マンスリー・レポート No.88 (2008年4月)
活動会員のレポート
  地中海の南の岸辺から
  JICA シニア海外ボランティア チュニジア商工会議所輸出振興  杉谷すぎたに きよし (元 住友商事)

2007年3月26日に成田空港を発ち、パリ経由チュニス(カルタゴ国際空港)に予定通り安着。迎えのバスの車窓から街並みを懐かしみながら、再び踏み入れた中東の雰囲気を実感した。日差しが強く、透き通った大空が広がる光景は正に地中海式気候の土地。道路や建物は過去の他中東諸国と同様に雑然としており、貧しさも垣間見える。それでも、チュニジア人には天然の陽気さが備わっているように思える。友人の中には中央アフリカ諸国を想像して本気で心配してくれた人もいたが、チュニスはヨーロッパの主要都市とも遜色ない国際都市に思えた。

2007年、私は61歳になるという年で、今ならまだ海外生活ができるという思い込みに身を任せ、JICAのシニア・ボランティアとしてチュニジア第二の都市スファックス市の商工会議所で輸出振興に協力することとした。これで毎日通った通勤地獄ともお去らばと。

商工会議所のフランス人とチュニスのシニア・ボランティアとともに(筆者右端)
冬場に咲くアーモンドの花(遠くから見ると日本の桜に似ている)
ローマ時代からのオリーブの大木(地上に出ているのは枝で木の本体は土の下)
海沿いの我が家から見たスファックス市方面の夕日

スファックス市はチュニス市から260km離れたチュニジアの中南部にあり、人口は60万人とも40万人とも言われているチュニジア第二の都市。JICAの車でチュニス市から南に下るに従い、独特な山々と多彩な木々が彩る風景から身の丈のやや低いオリーブの樹海が広がってきた。そのオリーブの樹海を越えると土漠の風景と共に港町であり、商工業都市でもあるスファックス市に入った。約3時間のドライブだった。実は、チュニス市からスファックス市まで特急列車もあり、同じく3時間で到着する。

次の日、赴任先の商工会議所にJICAのスタッフと挨拶に行く。商工会議所は小振りながらも大理石を使った玄関等、当地としては凝った造りの建物であり、その中に当地の製品も並べられていた。私は取敢えずということで同時赴任したもう一人のシニア・ボランティアの方と共にその展示場に席を並べることとなった。私のカウンター・パートはフランス語とアラビア語を話す海外展開担当次長の女性。直ぐに、この商工会議所にはかなりの女性スタッフがおり、男性スタッフは少ないことが分った。当国は女性の就労に力を入れており、欧米諸国からも高い評価を得ているとのこと。従い、男性の失業率はかなり高い。
この商工会議所のスタッフの中に唯一英語のできるフランス人の女性がおり、英語しかできない私にとり大変貴重な存在となっている。当地にあるフランス館と彼女の存在等が、以前、この地がフランスの植民地であったことを彷彿とさせてくれる。

スファックス商工会議所の主要な業務としては、@国際関係の維持、A輸出振興、B展示会等の策定・実施、C若手の教育、等があり、その業務毎に19の委員会があり、30名の委員が選出されている。委員のほとんどは当地の経営者であり、実務は常勤の所員25名で行っている。着任当時、同商工会議所は会頭選挙で忙しく、輸出振興どころではない、という感じであったが、会頭が再選され、落ち着きを取り戻している。

現在、私はオリーブ・オイル生産の中心地であるスファックス市の主要な農園及び工場を見学した結果を踏まえて、地中海式気候に恵まれ、肥料を撒く必要のない豊かな大地で、農薬を使う必要のない強い品種から採れるオーガニック・オリーブ・オイルを日本等に輸出すべく長期的な戦略策定に協力している。もちろん、今は展示室の仮の席から新しく用意された部屋の席で。

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