マンスリー・レポート No.95 (2008年11月)
活動会員のレポート
  領事シニアボランティアでシドニー勤務
  外務省領事シニアボランティア (元 伊藤忠商事) 大隅 おおすみ 国雄 くにお

 2007年10月2日に外務省の領事シニアボランティアとしてシドニー総領事館に赴任して一年が経過した。商社勤務時代にインドとインドネシアに合計17年間駐在したので、その経験を活かすべく、昨年6月に領事シニアボランティア第2期募集に応募した。2次試験を経て採用通知を受けた時は、ちょうど41年前に大学合格発表で自分の名前を見つけた時のように歓喜した。

執務室にて筆者

 ご存知の方もおられると思うが、この制度は民間企業等での海外勤務経験者が在外10公館(ニューヨーク、ロスアンジェルス、パリ、シドニー、ソウル、北京、上海、香港、バンコック、マニラ)に各1名派遣され、領事相談員として邦人援護や各種相談に応じる役割を委嘱される。2009年は更に第3期募集があり、新たに5公館(シンガポール、サンフランシスコ、ホノルル、バンクーバー、サンパウロ)に、各1名が来年2月に派遣される予定である。

   日頃の邦人援護の仕事では、紛失・盗難・詐欺・事故・罹病・安否照会など多様な事案があり、所持金を使い果たした旅行者、罹病家族を持つ永住者、ケアハウスに住む身寄りの無い高齢者への対応もあった。

シドニー市内風景 執務室(34階)からの眺め 総領事館が入居する36階建てのコロニアルセンター

   領事相談では窓口、電話、メール、ファックス等で多種多様な相談がある。時には極めて個人的な相談もあるが、これこそ私の務めと受け止めて真摯に相談に応じている。毎月の当館のメールマガジンにも「領事相談員より一言」として、在留邦人の皆さんに日頃申し上げたいことを書いている。特に在留届については、それが無かったために日本からの安否の問い合わせに協力できなかった具体例を挙げて提出をお願いしている。

   世界三大美港の一つに数えられ、オペラハウスとハーバーブリッジをシンボルとして持つシドニーは、人口450万人のオーストラリア最大の都市で、2万5千人程の在留邦人がいる。今年はシドニー日本人会設立50周年にあたり、記念事業の一つとしてシドニー川柳コンクールが開催されたので、日頃、奇異に写っていた風景を元に「通勤の淑女の足元ゴム草履」という作品を投稿したら図らずも入選した。

   2100万人余のオーストラリア全土の人口は、日本の22倍の国土面積に比較すると人口密度が極端に低いが、アジア各国をはじめ多数の国籍者が在留し、更には永住権を得て天然資源開発をはじめとする経済活動の推進力となり、社会全体に目に見える勢いを感じる。英国のエリザベス女王を国家元首に頂く立憲君主制を共和制に変えようとする一部の国民の意見も見え始め、「改革」に取り組む意欲も感じる。北京オリンピックでは、第6位の46個のメダルを獲得したが、その際には街角の大スクリーンの前で連日歓声が沸いた。

   領事シニアボランティアの任期は最長3年間であるので、その間にできる限り在留邦人の皆さんの力になれるように領事相談員としての職務を全うする所存である。更には、私にとって日本、インド、インドネシアに続く第4の故郷と呼べるようにオーストラリアの理解を深めたいと思う。

オペラハウス デンマーク人が皮をむいた蜜柑のイメージで設計、1973年完成。世界文化遺産 ハーバーブリッジ シングルアーチの橋で全長1,149m、 世界第2位。1932年完成
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