マンスリー・レポート No.100 (2009年4月)
活動会員のレポート
  集団性のコスタリカ−JICA海外シニアボランティア報告
    大西 おおにし 輝明 てるあき (元 若狭湾エネルギー研究センター)
研究所(INISEFOR)の仲間たちと 筆者左から二人目

 中米のコスタリカは環境保全とエコロジーの国だといわれて赴任した。1年を経過してなるほどそうだと思う。私の「勤務先」はエネルギー環境省中央火山帯事務所であり、赴任以来ここで地方自治体に対する環境行政の助言や環境教育効果の評価などを行ってきた。現在ではナショナル大学森林研究所(INISEFOR)にも出向き、コスタリカの環境管理に携わりつつある。INISEFORは小規模ではあるが、地球規模での気候変動に対する対策や緩和を、森林学の立場から究明しようとする研究所である。首都サンホセは北緯10度に位置するが、必ずしも「熱帯」環境ではない。だから、この国の森林には熱帯雨林以外にも乾燥林、雲霧林などと呼ばれるものも多い。私はINISEFORで気候変動がコスタリカのこうした自然環境に及ぼす影響の数学的モデリングを行っている。

 コスタリカはラテン系に属する。しかし少なくともサンホセを中心とするセントラルバレーでは、ラテンからイメージされる日差しの強さと気質としての人々の陽気さはない。それでもお祭り好き(で働くのは好きではない)ということについてはラテン系に通じており、サンホセなどの大きな町の大通りは事あるごとに車両通行止めとなり、フィエスタ(お祭り)参加者がダンスをしつつ、ときには牛や馬などもパレードしつつ通り過ぎることになる。沿道の見物人もフィエスタ慣れしており、たいていはさほどの熱狂には至らず、静かに見守るといったところだ。

 人々が熱狂するのはサッカーだ。これはこの国の国技として位置づけられているので、大きな町にはスタジアム、それほど大きくはない町でもサッカー用広場は必ずある。任意の日付の新聞を開いた場合、報道ページ数の五分の一はサッカー記事で占められるほどだ。国際試合ともなればスタジアムでの歓声は何百メートル先からでも聞こえる。「若者はサッカーの国際試合にだけはナショナリズムを発揮する」と新聞論説で揶揄されるほどだ(しかし、これは日本でも同じ)。

 コスタリカの町は碁盤目の街路で区切られたブロックから成り、平屋建てかせいぜい二階建ての家屋が立ち並ぶ。その中心は教会で、それに面して公園があり、その周囲には商店やメルカドがあるなどといった構造はどの町でもみな同じ、わかりやすいのだが画一的で、悪く言えば町としての個性はほとんどない。

 オランダの心理学者ホフステッド(Hofstede)によれば、ラテン系の人々は押しなべて集団性が高い。コスタリカ人はコロンビア、パナマ、エクアドルの人々と並んで極めて高い集団性を持ち、逆に個人主義的傾向は極めて薄い。だから、集団の意思は個人の意見に優先し、目立ちたがり屋や「俺が、俺が」的人格の持ち主は少ない。全員が寄り集まって行進するフィエスタ、みんなが寄り集まって熱狂するサッカー、同一様式の町で同一スタイルの生活する大家族などは、なるほど確かに集団性の顕著な現われであるともいえよう。

気候変動に耐える森林を目指す(INISEFOR) 独立記念日(9月16日)の路上ダンス
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