マンスリー・レポート No.118 (2010年10月)
活動会員のレポート
  <第2部>全国大学対抗英語ディベート大会観戦記(実況フィクション生中継編)
    西川にしかわ  裕治ゆうじ (ABIC活動会員、前日本貿易会広報G部長、双日(株))

 さて、ディベートをご存じない読者のために、予選第1試合を例に、誰とは言わぬが、某著名ディベート評論家の実況生中継で、その激しさと見どころを紹介しよう。以下、カッコ( )内は、評論家の公式コメントということになる。

決勝戦8チームの対戦表
本格的な決勝戦会場(10月3日)

1.ディベートの構成:
 試合はProposition(賛成派)とOpposition(反対派)に分かれて以下の時間配分、1試合は1時間で行われる。

  1. Motionの発表および賛成派・反対派の決定
  2. 作戦タイム (20分)
  3. First Proposition Speech(賛成)(7分)
  4. First Opposition Speech(反対)(7分)
  5. Second Proposition Speech(賛成)(7分)
  6. Second Opposition Speech(反対)(7分)
  7. Opposition Summary Speech(反対)(4分)
  8. Proposition Summary Speech(賛成)(4分)

2.チーン(ゴングの音):
 予選第一試合で与党役の有名私大チームは、巻き舌を多様した流暢な英語で次の様な主張を激しく展開する。

〈与党の主張〉
1)消費税は全ての物品売買に賦課され、国民全員で負担するので最も公平と言える。一方、例えば法人税は黒字の企業だけに賦課されるので公平ではない。
(なんかスッキリせんが、公平な様にも聞こえる。まあ、“公平”の定義にもよるがの。)

2)現在の消費税率は5%と世界的にも低率であり、貧困層にも大きな負担とはならない。
(菅首相も某経済団体も消費税率の引き上げを主張しておるのはご存じか?)

3)貧困層は、高価な物品は買わず安物で済ませ、食料品など生活必需品以外を買わねば消費税負担は最小となるはず。
(「貧乏人は麦を食え」と言って顰蹙をかった有名な総理がいたが、あの総理と同意見とは見識が高過ぎるぞ。ところで、昔は、ムギ、アワ、ヒエは米が食えない平民の貧乏食だったが、今では富裕層ご用達の高級健康食品なのじゃが。)

4)富裕層は若い時に猛勉強し、一流大学に入り一流企業に就職して高給を得ているので、高額商品を購入する自由を持つのは当然である。
(「寄らば大樹」を絵に描いたような実に賢明な発想だが、「こんな発想だから日本にはベンチャーが育たない」と批判される元凶でもあるぞ。一方で最近の有名大学は進学塾に通える富裕層子弟しか入学できないというのが通説だが、君も富裕層の子弟かの?)

 対する野党役の難関国立チームの反論は「声は控えめ、覇気は抑えめ」で、“ヒアリング”(注)には自信のある吾輩も聞き取るのに悪戦苦闘。国立君は多分こんなことを言いたいのか?
(注)余談が多いが、最近では“ヒアリング”を“リスニング”と言うらしい。「ヒアリング練習はしたが、リスニング練習はやったことがない」と言い訳しても通用しまぜんぞ、先輩諸氏よ。

〈野党の反論〉
1)消費税率5%は低率と言えども、生活必需品にも適用されるので貧困層にとっては不公平である。
(ウ〜ン、確かに“一理”あるが、“無理”もあるかもしれんのぉ。)

2)今回のテーマは個人の税金に関する問題であり、法人税の議論は含まれないはず。
(一気に前提条件に話題を逸らす“ダメモト戦法”じゃが、納得性がいささかココロモトナイがじゃ。)

 自論に反駁された私立君は、すかさず 「企業は法人税の支払いを拒否できないが、消費者は物を買わねば消費税は支払不要なので、より公平ではないか」と、やや暴論気味の横槍を入れ反論することを忘れない。
(否定されたら否定し返すのがディベートの鉄則なんじゃ。確かに企業は“マルサの女”が怖くて、社員の給料や株主配当を減らしてでも法人税だけは払わねばならんのじゃ。)
 ここで国立君は相手の迫力に圧倒され、苦し紛れに「Yes,ウーンbut」と小声で呟く。
(おい、女子大チームのように“Sit Down! ”と言って拒否せんかい。何でYesと肯定するんじゃ。もどかしいのぉ。)
 なんとか体制を立て直すべく国立君の苦しい反対演説は続く。

3)所得税は累進課税であり、定率の消費税よりも社会にとっては公平だ。
(確かに貧困層は累進課税制という言葉でごまかされ、得したような気になるが、吾輩のような富裕層ほど節税意識が高く、オフレコだが、脱税効果も大きいのを知らんようだな。)

4)貧困層の場合、例えば月収15万円で、そのうち10万円を生活必需品に支出すると5千円の消費税負担となり、月収100万円の富裕層よりも、総収入に対する負担率が大きいので不公平だ。
(小金持ちには見栄張君が多く、小型の中古ベンツなど“高級品もどき”に手をだす傾向が強く、消費税の負担率が低いとは言いきれんのだが。世間を知らんのぉ。)

5)10億円ものボーナスをもらう銀行会長もいるが、ボーナス原資となる銀行の利益は貧困層の“なけなし貯金”からも出ている、会長は貧困層から得た巨額ボーナスで高額商品を購入していることになり、消費税は貧困層にとり不公平だ。
(なりふり構わぬ“ヤケクソ三段論法”に出たか。庶民は高額報酬は不公平と常に考えるので、結果はオーライじゃ。ただし銀行会長など一流企業のトップになるには、どんなに周囲に嫌われても“イエスマン”を貫徹するなど、見えないところで大変な努力をしている現実を君達は知らんようじゃの。)

 とまあ、こんな大激論が交わされたのだが、「縦板に水」の私立君か、「焼け石に水」の国立君か、皆さんの判定やいかに。 (余談が脱線するが、「焼け板に水」とはどうゆう意味かご存知か?)

3.おまけ(ここ、試験にでますよ):
 ほんの一例だが、英語で「法人税」はCorporate Income Tax”だが、多くの学生がCooperation Tax”と発音していた。学生達は「経済協力税」の導入でも想定しているのか。となるとABICも大変お世話になっているJICA(国際協力機構)の猛反対が予想されるが。また、「最も公平な税」である“The fairest tax”Most fairest tax”とも言っていた。重箱の隅かもしらんが、「税法」「会社法」「英文法」など、「法学」全般に造詣の深い吾輩は大いに違和感を覚えた。

4.一流企業の求める人材・能力とは(就活学生必読!):
 ところで就活中の学生諸君よ、日本の一流企業が新入社員に対し、本当はどんな能力を期待しているか知りたいだろう。それなら教えてしんぜよう。ここだけの話しだが、一流企業の採用人事面接の現場では、次のような“超能力”が試されているのだ。

1)「ノミュニケーション能力」(つぶれるまで飲め)
よく混同されがちな「コミュニケーション能力」とは、「混んだ」電車で「コミュート」(通勤)することを「バケーション」する(余暇として楽しむ)能力のことで全く別物だ。
2)「騒々力」(飲んだら騒げ)
仕事するフリをしてカネにならない無駄な仕事をせっせと「創造」したり、あらぬ事を「想像」する能力を指すこともあるので要注意だ。
3)「プレゼン(ト)能力」
(上司へプレゼント「付届け」して自分をプレゼンする、つまり売り込む能力だ。 この場合、“ト”はsilent letterとなるのがポイントだ)
4)「異文化理解」
(上司の頭は異文化圏、決して否定や反論はせず、間違いも認めてゴマをすることだ)
5)「Readership」(Leadership ?)
(多少面白くなくても「日経新聞」の読者“Reader”となり、上司の面白くもない話題にもしっかり付いていける能力のことだ。RとLの違いなど“俺には関係な〜い”のだ)
6)「英語能力」
(英語は度胸、TOEIC Test などは恐るに足らず、“Yes, we can! ”さえ知っていれば天下無敵だ)

 大樹の陰に身を潜め、適当な仕事で高給をせしめ、たっぷり消費税を納めて国際社会(に)貢献せん為のハードルは実に高いのだ。 (因みに、ABICとは国際社会貢献センターのことだが、なんか無理があるなぁ。)

 学生達よ、「しっかり白(しろ〜)!」

 ディベート大会のスポンサーが“Simple Style”缶コーヒーのBOSSではなかったのが微妙に残念じゃ。来年はよろしく頼みますぞ、「ヨントリー」さん。(“ヨ“が”3”と読めたら、アンタはエライ!)

晴れの表彰式(優勝と2位チーム)
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