来日した7名の学生と
一橋大学太田浩教授(中央)
国際化戦略を加速して進める一橋大学でABICは、英語で講義する授業4講座を2010年4月から担当し始めている。それに続き、今回タイから来日した大学院生に講義を行った。 一橋大学はタイのタマサート大学と25年以上協定を結んで提携をしており、今年も1934年に設立され長い歴史と伝統のあるタマサート大学IMBA(International MBA)の短期研修のホスト校を2007年、2009年に続き務めた。7月19日の週に7名の学生と引率の教官が来日し、ABICは7月23日(金)に国立の一橋大学で二つのテーマで講義を行った。
タマサートの大学院生は、現在、就職して仕事を持ちながら大学院で勉強しており、問題意識は非常に高かった。また、全員以前に来日あるいは日本の大学を卒業した経験を持っている。従って、来日前に日本で学びたいことや訪問したい企業について具体的な希望を連絡してきていた。そこで、ABICとしては、その中で以下の2つのテーマについて英語で講義を行った。
- 日本の総合商社の機能と役割について (谷川 達夫 元住友商事)
- 日本に商品(特にタイ製品)を売り込むためには (奥野 尭昭 元ユアサ商事)
奥野講師
第1限の総合商社については、業務で日本の商社から原材料を購買する業務を担当している受講生もいた。従って当然日本の総合商社名や業容についての基礎知識は持っていた。講義としては、商社の機能や総合力の源泉、商社発展の歴史についても、実際の商社の広報用DVDなどを見せながら説明した。
第2限のタイ産品の日本への売り込みについては、食品(エビ、イカ、鶏肉製品、冷凍野菜など)を例に取り上げて、実例や実態を挙げつつ説明した。特に食品の場合は、安全性と消費者が感じる安心の問題が重要であること、また食文化の理解では、匂いや歯ごたえの問題の具体例をあげて説明し、受講者の大きな関心を呼び、質疑応答が行われた。
結論としては、日本市場に参入するには食の安心と安全を第一義とし、また日本市場で定着するためには、日本の食文化の理解と日本のパートナーとの協力が不可欠でることが強調した。最後に世界中の人が日本との取引が厳しいことを承知しており、日本市場に参入できれば、繁栄する世界市場に繋がることを付け加え講義は終了した。
講義する筆者
講義後の受講生の感想では、ABIC講師陣の話しは大変具体的でまた実務的であり、彼らの興味に合致するものとして好評であった。ABICはProfessional系(実務系)の講義を特に得意とするところであり、今後もこのような色々な各方面からの要請に積極的に応えていきたい。