活動会員のレポート

アジア経済研究所開発スクールでの講義


講義する辻会員

 2010年秋、ABICは、ジェトロ・アジア経済研究所付属の開発スクール(Institute of Developing Economies Advanced School, 略称:イデアス(IDEAS))の講義を、初めて請け負うこととなった。開発スクールは、経済協力・開発援助の現場において、高度な専門性を持って活躍できるエキスパートの育成を目指して、1990年より実施されている研修事業である。2010年度の受講者は、アジア12ヵ国からの研修生14名と、日本人研修生15名から成る。外国人研修生はすべて、母国の期待を担って派遣された若手官僚だ。
 ABICが受け持つのは、「国際貿易、投資、金融」に関する6コマ、「資源問題」に関する2コマ、「エネルギー問題」に関する2コマの計10コマで、それぞれをABIC活動会員の辻 哲彦(元 住友商事)、楠井裕章(元 兼松)、宮本正明(元 ジャパンエナジー)の3氏が受け持つこととなった。講義はすべて英語で行なわれる。

 2010年10月5日に入学式が千葉市幕張の同スクールで行われ、研修生、来賓、講師など関係者86名が出席。日本人研修生は英語で、外国人研究生は覚えたての日本語で自己紹介をするなど、式は和やかな雰囲気の中で進められた。その後行なわれた懇親会では、これから始まる研修への若い人たちの意気込みが会場に溢れていた。
 ABIC派遣講師たちの講義は、12月初旬に始まり、1月末で無事終了した。予想に違わず、研修生たちの多くが熱心な受講態度に終始し、質問内容はかなり高度なものも多く、双方向性のある活発な講義を展開することができた。

 多くの研修生は向学心に富み、知識レベルは高い。ただ実務の経験が少ないため実践的知識が乏しく、実務経験豊富なABIC派遣講師の行なった講義は、研修生の未知の分野を拓く、興味深い内容であったと思われる。また出身母体や専門分野が多様であることから、研修生間の知識レベル、問題意識、関心分野が分散する傾向があり、講師たちが講義内容の設定度合いに苦心する部分もあった。
 今年度の経験を踏まえ、来年度はさらに充実した講義を提供できればと思う次第である。

(大学等講座担当コーディネーター 布施 ふせ 克彦 かつひこ