活動会員のレポート

JICAシニア・ボランティア活動での副産物とは…?

進藤 しんどう たけし (元 エスティーエートラベル)


若くエネルギーを感じる国。
国民の平均年齢は約27才

青年海外協力隊員と11時間バスの旅で
最南端のカマウ岬へ

訪ねてくれた友人とベトコンが掘った
クチ・トンネル・ツアーに

 2007年1月に現役を引退。桜の季節にJICAシニア・ボランティア(SV)募集の電車の中吊り広告を見つけた。早速、詳細確認のため広尾にあるJICA広場へ行くと、そこで聞かされたのが申請書類に添付する健康診断審査基準の厳しさであった。
 血圧・血糖値に問題を抱える身としては、まずはジム通いからと生活習慣からの切り替えを図った。その苦労の甲斐があってか血液検査の数値も概ね基準値内となり、その年の11月に応募したのである。
しかし、試験に合格しても65日間の青年海外協力隊(JOCV)と一緒に受ける派遣前訓練の合宿が待っていた。福島県二本松市の訓練センターでの生活の1日は6時起床そしてラジオ体操から始まり語学や講座の研修と続き、夕食後は「宿題」が待っている。
 消灯時間(23時)には各宿泊棟に見回りも来る。このような「軍隊」並みに時間で管理された生活は想定外であった。でもJOCVとの共同生活は年齢も肩書も関係のない横社会。長年の肩書社会で染み付いた垢を落とすにはまたとない機会であった。退職後は「素の自分」で生きていくという願いに歩を進めることができた感じがした。
そのお陰で「資格はSVでも気持ちはJOCV」となって2008年9月に任国ベトナムへ向かったのである。

〈シニア・ボランティアの活動について〉

派遣期間: 2008年9月~2010年9月(2年間)
配属先: ベトナム・ホーチミン市人民委員会観光局
活動要請内容:

  1. 日本の海外旅行マーケット(日本人旅行者の特徴等含む)をベトナムの観光業関係者に伝える。
  2. 新たな観光ポイント等の開発。
  3. 日本語ツアーガイドの質の向上を図るためのセミナー等の開催。
  4. 国際交流プログラム等の促進。
  5. ホテル等への資格審査・経営へのアドバイス。

 派遣前、知らされていた要請内容と着任後配属先で聞かされるモノとでは異なる事例もあると聞いていたが、ほぼ同じ内容の説明を受けまずはひと安心。むしろ気になる点は「素の自分」がベトナム人社会に受け入れてもらえるかであった。しかし、それも取り越し苦労であった。配属先のメンバーは「事務所内最長老」の私を何かと気遣ってくれて、居心地良く任期を全うすることができた。
 帰国して数ヵ月が過ぎる。活動を通して知り合えたベトナム人、旅先での触れ合い、一緒に時を過ごしたJOCVの仲間たちとの語らい、そして60名を超す多くの友人たちがサイゴンに訪ねてくれたことなど、思い出は尽きない。友人の中にはベトナムの地に惚れ込み、日本語教師の資格を取りサイゴンで日本語教師として働き始めた者もいる。
 60歳で現役を終え、ボランティアに応募を決めたのが2007年秋。それから3年が過ぎた。しかし、今の「気分年齢」は57歳に逆戻り、いやもっと若くなったかもしれぬ。私にとってSVの活動は「Priceless」の体験であった。

※ベトナムでの日常生活を通して気がついたことを書いたブログ。「ベトナム食日記」http://gg-taberu.blogspot.com/


観光局アン次長(左)よりベトナム式のお歳暮を頂く