活動会員のレポート

やまなし産業支援機構主催
「海外経済情報・アジア市場開拓実務セミナー&相談会」でタイについて講義

森田 もりた 仁美 ひとみ ( 元 フジクラ)


セミナーで講義する森田会員

 10月4日(火)13:00~17:40、公益財団法人やまなし産業支援機構主催山梨県内の中小企業を対象とした「海外経済情報・アジア市場開拓実務セミナー&相談会(タイ王国)」の講師として派遣された。
会場は甲府市郊外の笛吹川堤防に近い大津公園そばのアイメッセ山梨ビル4階。当初の開催日は9月21日であったが、台風10号の影響で10月4日に延期となり、当日は晴天に恵まれ、受講者31名、相談会への出席会社は3社であった。

 セミナーでは、まず過去10年における日本と中国+アセアン諸国のGDPおよび人口の推移の資料をベースに、東南アジア地区への投資の有利性を説明した後、本題に入り、タイ王国の紹介と経済状況、投資傾向、投資政策(特に進出地区による優位性の説明)、タイ王国への投資の有利性、投資機会のある産業(自動車部品製造業、電気・電子部品製造業、産業機械・農業機械製造)、タイ王国への投資の心構え、ならびにタイ王国経済投資委員会(BOI)のサービス活動を紹介した。
 相談会には電子部品製造業、自動車部品製造業、産業廃棄物処理業とそれぞれ特長のある企業が参加した。3社とも内容の濃い相談で時間が不足気味となり、更なる疑問、質問事項はメールで応対することになった。しかし、現在の段階ではまず現地へ数多く足を運び知見を増やすことをお願いした。

 現在、タイ王国はアピシット政権からインラック政権に替わり、労働者への最低賃金を一律300バーツ/日に引き上げることを政策として取り上げているが、会社経営にはこれが大きな負担になることを経営者側は憂慮している。一方、タイ政府は自動車産業に向けて「東洋のデトロイト」とスローガンを掲げており、これを受けて自動車製造会社の進出が増え続けているのが現状である。これに伴いその裾野産業(第二次、第三次産業)の不足は深刻な問題となっている。

 一方、日本における中小企業のビジネス展開は近年ますます厳しくなっている状況から、海外展開を真剣に考えている企業は15年前に事業の海外展開を検討していた企業に比べ受講態度に大きな開きを感じた。特に山梨県では東京エレクトロン社山梨事業所の東北地区移転に伴う雇用者減がおよそ5,000人近くに及ぶということで、一層逼迫した雰囲気であった。しかし、公益財団法人やまなし産業支援機構のような公的機関がこのようなセミナーを主催し、地域県民への事業展開のヒントを主導することは非常に意義のある事業と考える。