著者:浮貝 泰匡(ABIC会員、元 ニチメン)著
出版社:戎光祥出版株式会社(Tel.03-5275-3361)
2011年11月20日発行 158頁 定価:1260円(税込)
アラブの春はチュニジアの“パンと自由と尊厳”を求めたジャスミン革命に端を発しエジプト、リビアへと長期独裁政権崩壊の連鎖を招来、今やとどまる所を知らずシリア、イエメンへと迫る勢いである。
2011年10月20日、41年もの長きにわたるリビアの独裁者カダフィが死んだ。カダフィの壮絶な最後は中東の諸国のみならずアジアの絶対君主たちを震え上がらせ諸国の反体制派を勢いつかせている。
本書の著者 浮貝泰匡氏(現日永インターナショナル株式会社会長)はリビア王政時代に商社マンとしてトリポリに赴任、5年間駐在した。
王政派の盟友と組んで多くの実績をあげイドリス国王時代を謳歌した。カダフィ大佐のリビア革命は1969年9月1日の朝に起きた。王政派関係者に対する容赦ない追及、外資、外国人排除宣言とこの日を境に浮貝氏の舞台は暗転、リビアの盟友とともにカダフィに追われる身となる。決死の脱出行に挑む、波乱万丈の人生の始まりである。
革命の導火線となる第3次中東戦争、PLOアラファト議長の助力を得てカダフィとの直接対決、盟友の妻を刺客から救え、戦慄のトリポリ脱出…と続く。驚きの連続、迫力のノンフィクションである。
もともと部族間抗争の多い国、カダフィ独裁政権崩壊後のリビアは何処へ向かうのか。今リーダー不在、分裂の恐れもありともいわれる明日のリビアを伺う一冊でもある。コラム欄でリビアの国、イスラムの民族、文化を紹介しているのも面白い。