活動会員のレポート

群馬県庁での講演―中小企業支援と貿易実務

佐藤 さとう とおる (中小企業支援担当コーディネーター、元 伊藤忠商事)


 ABICの活動範囲を拡大するためパンフレット・ホームページなどの広報活動、ABIC関係者による地方自治体等への売り込み活動等を行っているが、最も効率が良いと思われるのが中小企業支援事業を既に提携して行っている各自治体からの口コミによるABIC推薦であり、以下はその一例である。
 某月某日、群馬県産業経済部産業政策課から11月下旬に同部の職員対象に中小企業支援に関しての講演をするよう依頼が来た。7月初めに群馬県企画部総合政策室と東京事務所、下旬に同県生活文化部国際課からの来訪があり、ABICの中小企業支援の概略につき説明は行ってあった。
 同県の説明では平成23年度の重点国際戦略方針として①農産物輸出 ②県内中小企業(富士重工業をはじめ自動車産業関連が多い)の海外でのビジネス展開支援 ③観光振興(外国人誘致)の3点を挙げ、県庁職員対象に勉強会を不定期開催しているとのことであった。
 重点方針の一つとして挙げられる中小企業支援に関しての講演依頼であり、群馬県と更に密接に業務推進を図りたいとの思惑から引き受けることとし、相棒の高廣コーディネーターと相談して小職が担当することにした。それは与えられた演題とも関係する。
 演題は「中小企業支援と貿易実務」というもので、たまたま小職が2011年3月まで渋谷にあった専門学校(少子化の影響で同年3月で閉校)の講師を10年間勤めた担当科目の一つに「貿易実務」があったためでもある。「中小企業支援」と「貿易実務」とは如何なる関連性があるのか? 思い悩むところではあるが与えられた演題であるのでこれに沿った話しをすることとした。
 群馬県といえば毎年年末に趣味の歌仲間で気が合う数人と草津温泉へ忘年会をかねて出かけ、そのすばらしい泉質と豊富な湯量に大満足で年を越すというつながりしかなかったが、一体どういう県なのかざっと調べてみた。
 歴史的には旧石器時代からの遺跡があるが、荘園時代から中世の新田一族、山内上杉氏、北條氏、武田氏、上杉氏等の武士集団の争いを経て近世へ入り徳川家の武将が治めることとなり明治維新へとつながってゆく。
 人口は2010年国勢調査では200万人強。今や人口100万人を切る県が全国で8県あり、2010年の国勢調査で辛うじて100万人の人口をキープしていた和歌山県も2011年12月時点の推定では100万人を切っており、人口200万の県は大きい方といえる。
 県内GDPは平成20年度で約7.2兆円、1人当たり県民所得は約270万円である。福田赳夫、中曽根康弘、小渕恵三、福田康夫の4人の総理大臣を輩出、空っ風と女性上位で有名だが、女性の運転免許証保有率は全国一とのことである。
 さて、講演に関しては、①ABICについての概略説明 ②中小企業支援の現況 ③貿易実務という順番で約30名の県庁職員を対象に約1時間強行い、30分弱を質問等に割り当てた。
 ②に関しては具体名を挙げず守秘義務違反にならない範囲でABICの活動実態を紹介した。
 ③については専門学校の授業では一冊の教科書を年間35コマ(1コマ90分)で仕上げるものをとても20~30分の時間では無理なので与信等に的を絞り説明、質問も活発で盛況裡に終了した。