現地スタッフ4名と
BOI内長瀬プレゼン
BOI/JICA調印式現地報道記事
2010年5月、JICA専門家(投資環境整備アドバイザー)としてパキスタン政府投資庁(BOI:所在地 首都イスラマバード)に赴任した。
自身のミッションを通じて海外投資誘致活動展開、更には中長期展望から国際競争力ある産業基盤への転換、究極的には経済基盤強化に貢献出来ればと願いながら、以下の業務内容を展開している。
①投資関連法規制度分析と改善提案、その実現への指導
②投資環境インフラ現状分析と改善提案、その実現への指導
③上記に必要な投資庁組織分析とパワーアップ指導
④新規海外投資誘致活動展開の指導
パキスタンは現役時代初めての駐在地である。今回35年振りに戻り、感慨深いものがあるが、当国も緊張する中東情勢の中でアフガニスタン、インド、イラン、中国を睨み地政学的にも重要な立ち位置にあることを改めて認識している。加えて去年、今年の大洪水による経済的ダメージも大きく、政治面ではテロとの戦い、ビンラディン殺害事件など現在も厳しい時代が続いている。しかし、他方では日本の2倍の国土、国力の基礎たる人口1億7千万人、将来有望視される豊富な鉱産物資源などは将来への希望であり、まさにアフターBRICSの次を担うN11の一翼であるパキスタンを長い目で応援したい。
私も20年以上の各国経験から効率的な業務推進のため、JICA支援を受けて4名現地スタッフを雇い、BOI内部から意識改革、人材育成を含めて全てを“目に見える化”で展開、同時に私の経験とノウハウを見せながら、常にあるべき将来の方向性を提示しながら指導に努めている。
法規関連整備では、より魅力的な投資恩典制度の提案、より透明性の高い企業会計制度への改善提案などを実現すべく投資庁と共に政府関係各省との交渉を展開をしている。インフラ整備・改善では、道路アクセス・電力事情改善のためには同様に関係各省と交渉、必要予算確保のため、じっくりと時間をかけ粘り強く説得をせねばならず重要な業務となっている。
また出来るだけ投資企業の現場に出向き、彼らの抱える問題点、課題、悩みを現場で肌で感じながら、傾聴、分析、現場の声を反映し、業務達成に役立てるように努めている。各社も厳しい経済環境の下、いかに生産性向上、経営効率向上を図るかに日々注力されており、私も現場で気づく改善点、経営指導も行い、ひいては投資拡大、あるいは次の投資決定に少しでもお役に立てればと願っている。
徐々にではあるが、BOI含め政府内官僚の意識も変わりつつあり、自助努力で投資環境改善の行動を起こしてくれているのは嬉しい限りである。