活動会員のレポート

実感! 食材王国 あおもり

社団法人青森県物産振興協会 青森県産品輸出促進員  農守 のうもり 義文 よしふみ (元 伊藤忠商事)


青森県物産振興協会事務所が
入っている青森県観光物産館
(アスパム)を背に

青森県物産振興協会事務所にて

 青森県の依頼を受け、青森県物産振興協会に属し、青森県産品輸出促進員として活動している。2011年7月初めに右も左も分からない中、ワイフの協力のもと青森市への単身赴任となった。そんな中、青森県人の特徴の一つとされる無口なるも粘り強く心優しい県庁、物産振興協会の人たちに支えられ、無我夢中で過ごし、もうすぐ1年になろうとしている。
 伊藤忠商事を退職後、ここに至るまで短期間に色々な仕事を経験してきた。専門の繊維原料の国内での活動はどんどん縮小し、業界全体が海外に拠点を移す中、海外営業を知るという経歴を生かした仕事は国内の繊維業界ではほとんど見当たらなくなり、自分の周りでたまに出てくる海外営業の話もIT関連・機械類の営業マンの募集であった。2011年5月、ABICより青森県産品の海外営業の話があり、専門外の食品の話なのでまた駄目だろうと思いつつも面接に出掛けたところ首尾よく採用になった。
 赴任後、本格的に食品を学ぶにつれ分ってきたのが、食品は繊維原料と似て、IT関連・機械類のような技術的な専門家である必要が少ないということであった。両業界の基本的な違いは、食品には賞味期限、繊維原料にはロット区分があるぐらいである。採用時に課題の一つに挙げられていた100アイテム以上のカタログの作成とその英訳を達成するために、多くの食品メーカー・食品展に連れて行ってもらった。これが食品について学ぶのに非常に参考になった。その過程で、これまで生活してきた関西・関東エリアおよび駐在したテヘラン、ラゴス、ニューヨーク、ミラノでは見られなかった素晴らしい食材が、青森県にはたくさんあることも分ってきた。
 赴任して3ヵ月後からは課題のカタログの作成・英訳を纏めに掛かると共に販路開拓に待望の海外に出掛けて行った。最初がシンガポールだった。出張した先で、自然に伊藤忠時代に教えられ、実績を挙げてきた、「商売の可能性があると見込んだ相手を見つければ必死に食らいつく」というやり方が思い出され実行した。その結果、某社の社長と親しくなり、リンゴとリンゴジュースの商売ができ、今も続いている。その後、インドネシアのジャカルタ、ベトナムのハノイ、ホーチミン、台湾の高雄、台北にも出張した。台湾ではシンガポールと同様のやり方で、キーとなりそうな某社の社長、経理と親しくなり、青森県産品の売り込みを仕掛けている。
 青森市は、緯度がニューヨークと同じで夏は乾燥しており、短い真夏以外は木陰に入れば過ごしやすい。毎年8月には最大のイベントである「ねぶた祭り」がある。目の前で見る迫力は聞きしに勝る驚きと感動の連続だった。また水の流れが美しい奥入瀬渓流も体験でき、今春には全国的に有名な弘前城の桜を見に行った。他にも世界遺産の白神山地、下北半島の恐山、古墳の三内丸山遺跡、乙女像の十和田湖、酸ヶ湯温泉をはじめとする温泉も至る所にあり、豊かな自然や楽しいところが満載だ。加えて今や専門分野になった食品は、日本一のリンゴ、大間のマグロ、ホタテ、八戸のサバ等の新鮮な刺身が豊富で美味しくいただける。
 こう見てくるといいところだらけの青森県のように見えるが、唯一と思える欠点に気付かされたのが冬だった。今冬は特にかつてない程の積雪で、厳しい寒さに襲われ苦労した。今後はこの冬の楽しみ方を見つけたいと思っている。
 青森の春・夏・秋は最高です。たくさんある見どころを楽しみながら美味しいものに舌鼓を打ちに来て下さい。