活動会員のレポート

東北マジック行脚

赤田 あかだ たけし (関西デスクコーディネーター、元 丸紅) 

 宝塚市が主催する「希望応援隊」に参加しました。市長が“宝塚から東北に希望を届けよう”との思いから隊の名前を命名されました。2012年6月8日、市長から“心の癒し、笑顔を届けて”と激励を受け、夜行バスで市役所を出発しました。

 宝塚市として応援隊を派遣するのは、今回が10回目ですが、前回までは瓦礫の除去等が目的でした。今回は“心の復興”がテーマでした。現地にはこれまでもプロのエンターテイナーが訪れてはいますが、全て大きな会場での催しで、交通の便、あるいは身体的理由でそこまで足を運べない、小さな仮設住宅で生活している人たちを対象に、笑顔を届けて欲しいとの要請でした。一行は、我々マジックが6名、腹話術、落語、南京玉すだれが各1名、この他に、花苗を植える人、子供と積み木や紙飛行機で遊ぶ人、お年寄りと一緒に手芸をし、アクセサリーを作る人、アロママッサージをする人、歌の指導をする人等が加わり、総勢23名でした。

 目的地の南三陸町歌津には、翌9日午前8時に到着しました。現地到着後、グループ別に、9日午前と午後、更に10日の午前と、3回に亘り、仮設住宅の集会場を訪れ、それぞれの芸を披露しました。マジック組は二人一組で、3グループに別れ行動しました。10日の夜は、地元主催の交流会が開かれ、地元対宝塚で野球拳の対抗戦をしたり、南京玉すだれ、マジックを楽しみました。各集会場とも、子供さんから、お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんまで皆さん、「笑顔、笑顔」、「震災後、初めてお腹の底から笑いました」「楽しかったです」と感謝の言葉を頂きました。

 とは言え、被災地はいまだに瓦礫の山が方々に見られ、住宅地跡は、基礎部分が残るのみ、JRの駅も高架線路も切断されたまま、幹線道路も大きく崩れたままです。1年3か月経った今も、ごみは整理されてはいるものの、ガレキは自然発火を防ぐため定期的に重機で掘り起こしが必要で、見た目には、震災直後のままでした。宝塚に戻り、平凡な毎日こそが幸せと実感しております。

 大変な生活の中、皆さんに一ときでも喜んで頂き、少しは心の癒しに役立ったかと思います。11日早朝にも関わらず、副市長以下関係者の温かい出迎えを受け解散式が執り行われました。「素晴らしい笑顔をまた届けたい。機会があればもう一度訪ねよう」と参加者全員で話をし、解散しました。往復夜行バス、3泊4日の強行日程でしたが満たされた「希望応援隊」でした。