活動会員のレポート

クレア経済アドバイザーとしての2年半を振り返って

山﨑 やまざき 和彦 かずひこ (元 住友商事)


クレア内の職員向け研修風景

アドバイス風景

 2010年9月より、財団法人自治体国際化協会(通称クレア)の経済アドバイサーを、2013年3月末まで務めさせていただいた。実はそれまではクレアの存在すら知らなかったのだが、この協会が1988年に地方自治体の共同の機関として設立され、東京本部以外に7つの海外事務所(ロンドン、パリ、ニューヨーク、シドニー、シンガポール、ソウル、北京)を持つ立派な組織であることを知るに至った。
 活動の内容としては、人的国際交流で有名な「JETプログラム」の推進、自治体の海外における諸活動の支援、諸外国の地方自治に関する調査研究、日本の自治体による海外の自治体との交流・国際交流・観光や物産などの経済活動の支援、国内の多文化共生社会推進に向けた取り組み、など「地域の国際化」のための役割を担っている。160名いる東京本部と海外事務所で勤務している職員の多くは、地方自治体からの若い出向職員で、皆世界を相手にはつらつと仕事に取り組んでいる大変活気にあふれる協会である。
 近年地方自治体の海外における活動が、人的交流から地元産品の販路開拓や観光誘致にシフトしてきていることから、クレアは2010年より、海外での経済活動の経験のある人材を経済アドバイザーとして採用する方針を決め、小生がその第1号となった次第である。クレアのアドバイザーの役割は、多くの人材を有するジェトロや中小企業基盤整備機構などと比較すれば極めて小さい。しかしクレアは地方自治体にとっては、身内であるため何でも気軽に相談できる身近な存在として機能している。多くある自治体の中には、ジェトロや中小企業基盤整備機構の活動そのものを十分認識していないところもあり、かかる自治体にはジェトロ等の活動内容や、発行された資料の紹介なども行っている。
 日常的な活動としては、東京本部において自治体からの個別相談への対応を行うことが主であるが、時として地方自治体に赴くこともある。従来は中国関連の相談件数が圧倒的に多かったが、2013年に入りタイ、シンガポール、インドネシア等の東南アジア関連の相談件数が急増している。クレア自体も、希望する自治体を募り従来上海、香港で食品見本市を開催し、期待以上の成果を上げてきたが、2013年は初めてタイのバンコクでの開催を予定している。相談業務以外には、クレア職員への貿易実務セミナー、アセアン事情セミナーや海外赴任前のアドバイスなども定期的に行う機会も得た。
 私がクレア勤務中に知り合った多くの自治体の職員が、クレアを通して身に付けた国際的視野を武器に、それぞれの出身母体で、国際化推進の担い手になることを祈願している。