活動会員のレポート

アイオワ州政府駐日代表の後継者リクルートに当たって

アイオワ州政府駐日代表  牧野 まきの 伸彦 のぶひこ (元 三菱商事)


アイオワ州ClarindaのNSK社の前で
廣瀬さん(右端)と

Branstad州知事執務室で 筆者(左)

 58歳で三菱商事を退職し、アイオワ州政府日本事務所の代表に転職した。その後17年余りになり75歳になった。業務の内容は、日本からアイオワへの投資誘致が60%、アイオワ産品の対日輸出が40%だった。
 投資誘致活動は、いわゆるコールドコールが主体となる。これはダメ元で飛び込み、アイオワ州の企業立地の利点を話すわけだが、相手企業からは「お話を承りました」と、こちらの立場に配慮した返事が来る。企業の担当者は、たとえ案件を抱えていても、会社の稟議も通っていない段階で喋るわけにもいかない。大企業では事業部別に案件を持っていて、他の事業部の案件を、たとえ知っていても話さない。知事など州政府の関係者が訪日した際、アイオワにすでに進出している企業に訪問するのも大切な業務だ。州は日本企業を歓迎していることを常に発信していなければならない。現地のバッシングを進出のリスクと捉えるのが一般的だが、その心配がないことを訴え続けるのだ。
 アイオワ州は、全米の中で一、二を争う大豆・トウモロコシの主産地で、それから派生する豚肉・鶏卵の最大輸出州だ。大豆業界の人を招いてセミナーを開き、アイオワ産大豆の品質と安定供給を訴え、食肉使節団を伴い輸入先を訪問したりした。
 ところが2012年6月にアイオワ州政府側よりあと1年で、つまり2013年6月いっぱいで引退してはとの肩たたきがあった。アイオワ州日本事務所を構えていた千代田区一番町のビルが取り壊されることになり、事務所を移転存続させるかどうかの岐路に立つ時期と重なった。検討の結果、経費節減のために日本事務所を廃止し、在宅業務とすることになった。その上で、退職勧告を出したその私に後任を探してほしいとの依頼があった。このような依頼は珍しいと思いながらも了承した。
 そこで他にも後任を当たったが、以前に事務所の投資担当の採用にも協力していただいたABICに募集の協力を依頼したところ、関事務局長と西山コーディネーターに快く引き受けていただけることとなった。
 上記の目的に合う人材をと依頼し、下記をその基準とした。

  • 貿易経験最低5年
  • 英語と日本語に堪能
  • 良いreference
  • 北米駐在経験
 契約期間は2013年7月1日−2014年6月30日を最初とし、1年ごとに更新、との条件を付けてABICより募集をかけていただいた。それに対し、幸い6名の方に応募をしていただいた。
 2013年2月に、その6名の方々と州政府経済開発機構理事長をはじめスタッフ数名とSkypeで面接をしたいとの要望があり、幸い6名の方々もSkypeの準備ができていたので実行された。アイオワから面接のために訪日するのは旅費が掛かるので、Skypeで間に合えば確かに効率的ではある。Skype面接の結果2名に絞られた。その2名と理事長との直接の面談が4月19日に成田のヒルトンホテルで行われ、最後に廣瀬一郎さんに決まった。お願いしてから5ヵ月の長い時間がかかったが、その間ABICの西山コーディネーターに辛抱強くご協力していただき深謝している。
 なお、州政府から小生に引退勧告があったので後継者探しをしたのだが、その後州政府の気が変わり、牧野にもう少しやってもらいたいとオファーがあった。それを受け7月1日からは廣瀬さんと、それぞれの自宅で業務を行っている。廣瀬さんが投資担当で牧野が対日輸出担当である。