活動会員のレポート

滋賀県大津市立粟津中学校での国際理解教育

たちばな 弘志 ひろし (関西デスクコーディネーター、元三井物産)


授業を終えて粟津中学校平松校長(中央)と

 ABIC会員による大津市立粟津中学校における国際理解教育出前授業は、2002年に開始以来、今回で13回目を迎えた。今回は、エジプト、ブラジル、スペイン、ロシア4ヵ国が授業対象国となり、2013年12月4日同校で行われた。同校では、授業に先立ち、4つのクラスでおのおののクラスが授業対象の一国について、担任教諭の指導の下、生徒自身が調べ、結果発表をする事項をまとめたものを、クラス全員の共同作業で壁新聞のような形式に仕上げる。出前授業当日、各クラスでは同時並行的に、生徒自身が進行する形で、学習の結果発表を行う。次に、講師となるABIC会員が発表内容を考慮に入れ、資料、写真集、映像を駆使しながら、当該国の文化、生活、習慣、スポーツ、学校生活、日本との比較など経験談を含め、分かりやすく説明をしたり、生徒との対話を交えて授業を進めてゆく。
 ネットが発達した現代では、生徒は比較的容易に当該国に関し一般的な知識を得ることができるが、やはり、現地での生活経験に基づく各講師の話は生徒の関心を大いに引く。今回、授業対象国となった国々のうち、エジプトは2012年にも授業対象国であり、2年連続となった。ブラジル、スペイン、ロシアはオリンピック開催予定国であったり、候補となった国であり、学習対象として関心があったのかとも思われた。
 授業終了後に生徒全員が書いた感想文を読む機会を持ったが、各国に共通することとしては、「調べたこと以上の詳しい事情が分かった」、「前もって持っていたその国のイメージとは随分違っていた」、「日本との文化、生活習慣の差がよく分かった」、そして「将来自分も海外での生活を経験してみたい」等があった。エジプトについては、特に日本との生活習慣の差の大きさ、驚きをつづったものが多くあった。
 一方、講師の立場からの印象としては、「現地に長く居住していると見失ってしまいがちなことを、生徒の素直な驚きに接したことで、大切さを逆に教わった」(スペイン)、「授業では、ポルトガル語の寸劇もあり、事前によく勉強されていると感じた」(ブラジル)、「授業当時、ロシアのサッカーチームで活躍する本田選手の話と、日本車ブランド<HONDA>とを関連付けて話を始めると、教室の雰囲気が盛り上がった」 等があった。
 授業終了後、短時間ではあったが、同校の平松校長と歓談し、冬の風が湖面を吹き始めた琵琶湖畔を後にした。

今回授業を担当した講師:
氏   名  授業担当国  出身会社
高山 滋伸  エジプト   伊藤忠商事
堀   進  スペイン   丸  紅
赤田  堅  ブラジル   丸  紅
橘  弘志  ロシア    三井物産