活動会員のレポート

小学生に「サンバ」を教える

  高橋 たかはし 美樹 よしき (元 丸紅)


授業風景「リオとサンバについて」

授業風景「サンバステップのワークショップ」

 ABICより国際理解教室の講師のお話を頂いた。内容は日本橋にある中央区立阪本小学校の3年生から6年生までの生徒約85人を対象に「サンバ」を教えてほしいというものであった。
 授業実施予定日が2014年5月で、その直後の6月中旬からブラジルでサッカーのワールドカップ大会が開催されるため、ブラジルへの関心が盛り上がっていた時期。子供たちにサンバのリズムを体験してもらいブラジルへの理解を増やしてほしい、との趣旨であった。
 私は以前仕事の関係で4年間ブラジルのリオデジャネイロに駐在し、その間サンバに深く親しみ、リオのカーニバルにも何度も参加していた。その経験を生かして日本の子供たちにブラジルとサンバを知ってもらう好機と考えて、このお話を受けさせていただくこととした。
 日本でサンバは著しく誤解されていることを私は残念に思っていたので、この機会に日本の子供たちに本物のサンバの美しさとブラジルの素晴らしさを伝えたいと考えた。また、ブラジルは大の親日国であり、多くの日系移民の存在、サッカーの分野ではジーコをはじめ多くのブラジル人選手が日本で活躍して日本サッカーのレベルアップに貢献したこと、そして、日本人はサンバ・ボサノバが大好きで、世界でも最もブラジル音楽が好きな国民であること、なども理解してほしいと考えた。
 授業に当たっての準備には下記工夫をした。
1)パワーポイントを使って地図・写真・動画・音楽を多用することにより、視覚と聴覚による体感を狙った。 2)目前に迫ったサッカーワールドカップとの関連テーマを盛り込み児童の興味を喚起。 3)サンバダンスのワークショップでは基本のステップの習得に限定し、難しいステップは盛り込まなかった。  当日の授業は小学校の体育館で行った。授業の内容は、①ブラジルとワールドカップについて、②リオデジャネイロとサンバ、カーニバルについて、③実際にサンバのステップを体験するサンバ・ワークショップ、の3部構成であった。時間の制限もあり全体の時間配分が難しかったが、関係者皆さまのご協力を得て無事に授業を行うことができた。
 授業後の子供たちの感想を見ると、「サンバのダンスは最初は難しかったが、慣れてきたら楽になった」とか「楽しかった」との意見が多かったので安心した。個人差はあれ、実際にサンバのステップを体験したことが一番強烈な思い出となったようであった。また、ブラジルやリオデジャネイロについても使用した音楽や現地の写真、それにカーニバルの動画等を通して子供たちにその素晴らしさを感じてもらうことができた。
 今後2016年にはリオデジャネイロでオリンピックが開催される。今回の授業を通して得られたブラジルとサンバに関する子供たちの関心と理解が再び役に立つことを願っている。また、この授業は私にとっても素晴らしい貴重な経験となった。
 かかる貴重な機会をあっせんしご指導いただいたABIC関係各位にあらためて感謝したい。