色紙へ揮毫
坐禅会場での筆者
皆さんからよく坐禅をすると「無心」になれますかと尋ねられます。ですが無心は坐禅の結果であって坐禅の目的ではありません。実を申しますと無心になっている時は無心であるかどうかも分からなくなります。頓知みたいですが本当です。安倍総理が坐禅でよみがえったことや、アップル社の創業者である故スティーブ・ジョブズが坐禅に取り組み、彼が成功した要因の1つであることなどもあり、日経ビジネスが特集号を出版するなど、最近、坐禅は話題となっております。
さて、私自身は定年退職間近となった頃、身心の健康、特に心の健康とどう向き合ったら良いのか考えておりました。そしてまず頭に浮かんだのが坐禅をやってみようということでした。体験先を探していたところ、少林窟道場(広島県竹原市)に出会いその門をたたくことを決心しました。その道場で2週間ほど坐ったところ、当道場の井上希道老師より一定の評価を受け、また自分自身でも良い状態に達した心境を維持したいと思い、帰宅後も毎朝1時間程度の坐禅を続けることと致しました。私自身はさほど期待はしておりませんでしたが結果は予想以上のもので、自宅での坐禅のほか年数回道場や禅寺での参禅にも取り組んでまいりました。
今日、科学の進歩や情報化社会の急速な進歩・発展には目を見張るものがあり、私たち現代人にとって不安要因ともなっております。これら社会の変化に対応していくためには、自己を見つめ・自己を確立することが重要であり近道であると考えております。また、禅は茶道・華道・能など日本文化の基本的要素ともなっており、坐禅は心の健康のみならず、人格形成面でも良い効果が期待されております。この様な中、私の個人的な坐禅体験に加えまして、2013年秋に参禅に訪れた御誕生寺の板橋興宗老師(元曹洞宗大本山総持寺管長)の薦めもありましたので、私自身は時期尚早とは思いましたが、これも何かの縁・機会と考え、2014年4月より自宅近くの仁川会館にて坐禅会「坐禅塾」を始めることと致しました。
坐禅塾は宝塚市および西宮市の公報に掲載していただいたこともあり無事にスタートすることができました。坐禅は釈尊以来2500年、達磨大師以来1500年の歴史がありますが、釈尊はさて置き、禅宗は中国で起こり発展してきましたが、当の中国では禅宗のみならず仏教も弾圧され、その伝統は灰燼に帰するに至りました。そのため今や禅の中心はわが国日本であり、世界中で日本語起源のZENが共通語となっている次第です。坐禅塾では1500年の伝統を尊重しつつも、現代人にも受け入れやすい坐禅を目指しております。私自身の体験を踏まえ、単に坐るだけで精神面のみならず、種々の効果が認められましたので、一人でも多くの人たちに坐禅を通じてより良い人生を送っていただきたいと念願するに至りました。私の残り少ない人生ではありますが、この坐禅塾を軌道に乗せ私のライフワークとすることができれば望外の幸せではないかと願っております。
なお余談ですが、坐禅と平行して書道にも取り組んで5年程となります。特別な目的を持って書いているわけではありませんが、これからも書を楽しみながら禅語などにも取り組んで行きたいと思っております。私の拙い体験談にお付き合いいただき有難うございます。
合 掌
〈坐禅塾〉
開催場所:仁川会館
ホームページ:http://www7.ocn.ne.jp/~zazenjk/
E-mail:zazenjuku@oregano.ocn.ne.jp
携帯電話:090-5366-8811