活動会員のレポート

「ツーリズムEXPOジャパン2014」への英語・中国語通訳者派遣に参加して

  竹田 たけだ 信志 しんじ (元 ユナイテッドディスティラーズ)


ツーリズムEXPOジャパン

「おもてなし商談会」Japanステージ前

 日本政府が掲げる「訪日外国人2,000万人目標」を発表して以来、日本の旅行業界はそれを追い風に大いに内外の旅行機会を盛り上げようとしていて、この種のイベントは今後ますます増えることが予想されている。
 今回のイベントの会場は東京ビッグサイトで、ABICから派遣されたわれわれが参加したのは2014年9月25日と26日である。25日は「アウトバウンド商談会」で、海外54ヵ国・地域のセラーと日本の旅行社(バイヤー)との商談会、26日は「おもてなしナイト」と称してステージではPRを行い、同コーナーでは海外の旅行社への軽食接待。その後彼らは日本の各都道府県や市の観光ブースを訪問の上、積極的な情報交換を行った。
 ABICから派遣された通訳者は25日3人、26日6人であったが、この企画は主催者側の推進室にとっても初めての通訳者動員であったため、いくつかの課題が見受けられた。
 25日は「アウトバウンド商談会」で海外のセラー(旅行代理店、ホテル、観光地など)による日本の旅行社への売り込み。われわれ通訳者は受付テーブルで待機していて、日本の旅行社や海外のセラーからの要請を受けて、その商談(商談時間は20分)に参加し通訳を行うというものであった。
 しかしながらほとんどの日本の代理店のバイヤーは英語ができ、また、海外のセラーは自国の言葉を理解できる日本人の通訳者を同伴していたので、通訳の要請頻度は予想していたより少なかった。
 われわれの出番は、日本の大手旅行代理店が商談デスクを10ヵ所程構えていて、その傘下支店からの通訳要請や、英語が通じない場合、われわれの通訳テーブルにヘルプを求めて飛び込んでくる海外のセラーからの要請がほとんどであった。
 26日は「おもてなし商談会」でのJapanステージ前で、海外セラーに対する接待の手伝いや、都道府県と市のブースを訪問する海外セラーの同行通訳が主な業務であったが、通訳の機会はあまり多くなかった。同コーナーでは飲み物と軽食が用意されていたので雰囲気も盛り上がり、訪問者は片言の日本語と英語で日本の業界関係者との会話を楽しんでいる様子がうかがえた。
 同日、インドネシアからのセラー(ホテル社員)で日本を初めて訪問したという青年男性と話す機会があり日本の感想を求めたところ、日本人の対応、マナーはとても素晴らしいと語った後、「東京のホテルで簡単な物(携帯アダプター)を英語で頼んだが、英語が通じなかったのはとても驚いた。同業者として考えられない」とショックを受けた様子を何度も話していた。同じ業界人として英語で簡単なお客様のニーズに応えられないことがとても恥ずかしいとの思いを持ったようで、さらなるホテル業界のサービス向上を期待したい。年間2,000万人の訪日数を目指すのであれば、まずは足元つまり外国人と最も接触頻度の高い旅行業界の適切な対応が必要と思われた。
 翌日発行のプレスリリースによると、このイベントには「全国47都道府県、151ヵ国・地域から1,129企業・団体が出展、来場者数は157,589人」と発表されており、新聞報道や上記の数字を見る限りこのイベントは成功裏に終了したといえるだろう。
 最後にこのような活動機会を与えていただいたABIC関事務局長、西山コーディネーターに感謝いたします。