活動会員のレポート

大阪府立千里高等学校での国際理解教育

  たちばな 弘志 ひろし (関西デスクコーディネーター、元 三井物産)


大阪府立千里高等学校担当教諭と講師の皆さん(筆者は後列左端)

 大阪府立千里高等学校での国際理解教育授業が、ABIC会員7人により、7クラス同時並行の形式で2014年12月11日に行われた。2014年度のスーパーグローバルハイスクールアソシエイトである同校から、同校の国際文化科と総合科学科の1年生計320人に対し、日本企業と国際協力の関わり、国際協力に求められる資質をどのように身に付けてゆくか、現在学習している英語をどのように生かしてゆけばよいか、これらをテーマに生徒に理解させることを目的とする授業の要望を2014年4月に受けた。
 授業に先立ち、担当教諭と授業の趣旨、目的を確認し、世界各地で仕事と生活を経験した会員に講師を要請、その後、各講師と担当教諭との直接コミュニケーションをも通じ、授業の骨格を形成していった。諸事項打ち合わせの過程で、予期せぬ講師の交代などがあったものの、予定通りに授業を実施することができた。7人の講師が経験談を具体的に解説した国、地域は、インドおよびネパール、インドネシア、ベトナム、ポーランドおよびミャンマー、バングラデシュおよびパキスタン、シンガポール、南アフリカ連邦と多岐にわたった。講師は、おのおの個性を生かした切り口と工夫で、生徒の関心を引き出す授業を行った。
 ネットが発達し、生徒は、比較的容易にいろいろな知識を得ることができる環境といえるが、実際には、高校生が自ら関心を示さない事項は、大人が当然知っていると思っていることでも、案外よく知らないこともあり、各講師は、生徒の反応を確かめながら進めたり、45分という限られた持ち時間の配分を勘案しながらの授業であった。
 後日入手した生徒の感想文を読んでみると、おのおのの授業で共通した感想として、実際に聞いてみて当該国のことがよりよくイメージできたことや、相手国の発展のために支援をすることが、翻って、やがて日本の利益にもなり得ることが理解できたことが挙げられていた。併せ、英語の学習については、まず、英語の国際性、英語以外の語学にも関心を持つ重要性を理解したこと、加えて、流ちょうにしゃべることではなく、 相手に自分の意思を伝える工夫とともに、伝える内容が重要であることにも触れられており、この点でも今回の授業の目的が達成できたとの感触を得ることができた。

今回授業を担当した講師:

講師氏名国・地域出身企業
大久保浩司インド・ネパール三井物産
藤田  敏インドネシア日商岩井
松村 直治ベトナム日商岩井
浦  茂樹ポーランド・ミャンマー伊藤忠商事
岡崎 謙二バングラデシュ・パキスタンニチメン
隅谷康二郎シンガポール稲畑産業
潮田 満雄南アフリカ連邦トーメン