会議室でデモ
写真、ビデオ撮影も許可
ABICの活動では、私はこれまで東京都中小企業振興公社での海外販路ナビゲーターを4年間務めさせていただいた。2015年8月からは、ABICが横浜市から継続して受託している「中小企業海外販路開拓事業支援」アドバイザーに採用されて、鶴見にある無人搬送ロボットAGV(automatic guided vehicle)に使われる主要部品を作っている㈱ワコー技研の海外進出のお手伝いを始めた。
これは「始めました」という報告で、成功例ではないが紹介させていただく。
AGVは無人の台車が工場等の中をマグネチックテープに沿って走り、止まる搬送ロボットである。昔の製造ラインに代わって現在はAGVが部品、材料を作業者のスポットに届けて、仕事が終わった物を次の作業者に送ることで、少量多品種生産に対応する会社が増えている。これは同時に個人の生産能力、実績を明確に表すものでもある。自動車のように重い物を扱う工場では、特にAGVがフォークリフトに代わって経済効率も上げることができる。
ワコー技研はAGVの動きを確実(ミリメートル以下の再帰精度)、強力(耐荷重数トン)にするハイエンド部品を作ることで工場内部に新しいメリットを作り出して、さらにそれをサーボ化によって安価に実現することで海外に市場を広げたいと考えている。日本市場ではその対象セグメントユーザーにはほぼ全て使われており、今後は海外市場での需要掘り起こしを希望している。
対象市場は、自動車等重量部材を取り扱って少量多品種を、速度を上げて生産する必要のある所、しかも人手不足、賃金上昇を余儀なくされている所、となるとASEAN内部で最大の自動車生産国で失業率1%以下のタイ国を最初のターゲットに絞った。
対象企業は、物作り能力と、主要顧客と仮定した自動車関連企業の生産現場に入り込んで改良、改善を提案する能力を有すること、健全経営は言うまでもないが、お客さま、パートナーとして誠実に一歩一歩お付き合いのできることも重要だと考えた。AGV製造、組み立てのノウハウは、部品を買っていただいたパートナーにはワコー技研が提供する。
私のタイトルはアドバイザー、でも実態は企業に商品、技術を教えていただいてびっくり感心しているところで、どのようなアドバイスができるかまだ試行錯誤の連続だが、幸運なことに今は支援企業と全く同じ希望を持っており、自分の違った経歴、職歴や海外勤務23年の経験を活用しながら種々ご提案している。
対象企業、お客さま候補の選出もタイ国の場合は日本国内に対象国の金融機関、経済協力団体があって、ありがたいことにいろいろ具体的に情報、マッチングなどを頂いている。
先日初めて現地に出向いて10社ほどに訪問紹介することができたが、先方の反応は極めて積極的で前向きであった。
今は次の段階に向けて、われわれの具体的な希望を明確にして先方の企業の希望に合うものにできるか、すり合わせを計画している。
アドバイスする人間からみると、まず優れた人、商品、会社ありきで、そのコラボレーションでなければうまくいかないと実感している。その上でわれわれの強さも弱さも十分に再検討して、ある程度はコラボレーションの相手にも理解してもらった上で、顧客、生産者、技術の提供者という関係に基づいて構造的な補完関係のあるパートナー探しをしていきたいと考えている。