活動会員のレポート

インド某社アポイント取得・同行商談顛末 てんまつ

  本城 ほんじょう まこと (元 住友商事)

アポイント取得・同行商談編
 「本城さん、お得意の国から話があるけど?」2015年9月のABICコーディネーターの西山さんからの電話だ。資料を見てみると、インドの会社「A社」が日本のメーカー「日社」に「技術移転を伴う合弁事業の相談で会長が10月に訪日・面談したい」との趣旨だ。要は日社とのアポイント取得と、A社の会長訪日時の同行通訳案件。それならとお請けした。
 一番心配だった「日社がABIC会員の電話に取り合ってくれるのか?」という点は、「日本貿易会傘下のABICの会員」と名乗ったら現役時代とほぼ同様な感覚で対応してもらえたので杞憂に終わった。
 日社からは「突如英語のメールが来て戸惑っていました。お会いするのは可能です」と都合の良い日時を幾つか教えてもらい、直ちにA社に連絡。即日で会長に報告し連絡する旨返信が会長秘書氏から来たので「最近はインドも随分対応がスマートなんだ」とちょっと感心した。しかしそうは問屋が卸さない。肝心の会長の確認が一向に来ない。督促しても「旅行中でつかまらない」とかで埒が明かない。結局「あの件どうなったんですか」との日社の問いには平謝りで「10月の話はなくなりました」と伝えざるを得なかった。
 それから2ヵ月半もたった11月末にA社から突如「2週間後の週末に日社と会えないか」とのメール。「それならこちらも」と「10月・12月2回分のアポイント取得料と、同行通訳料を前払いしてもらってから」とちょっとフライングな返事をした。即同意を得たので、コンタクトを再開。A社は「12月がダメなら1月では?」などと言ってくるが、今度は日社の担当者に再三コンタクトしても完全に居留守、ノー・リプライ状態。
 ところがここにきてA社の会長から直々にメールが届き始めた。日社のメールのコピーに登場する、窓口の方の上司と思われる方に電話をして何とかご了解いただき、ようやく日社とのアポイントが固まった。A社会長は予定通り来日し私のアテンドで日社を訪問。日社側も営業や技術のトップの方以下9人の方が応対し第一歩が動き出した。

代金回収編
 「このままではABICがタダ働きになってしまうかもしれないから」と前払い代金の回収役を引き受けた西山さん、苦労話は昨年(2015年)のクリスマスの日に「支払い期限2週間以内、ABIC口座に満額着金」との条件で請求書を出したところから始まった。2週間が到来したが案の定(?)入金がない。再三督促を入れると、「今日送金するから」と1時間後に返事が来たがその後もやはり着金しない。また督促を入れると1時間後に「経理に回している」との連絡。まるでそば屋の出前だ。数日後に今度は「経理から税務署発行の納税証明書が必要」と。「たかが数万円の送金で何で?」とも思われたようだが、「送金が滞っては困るから」と即必要書類を送信したら翌日に振込確証を送ってきた由だ。
 ところが、確証入手の翌日にABIC口座に着金した金額からは銀行手数料がしっかり差し引かれていた。早速「足りない」とクレームし、ほぼ1週間後にようやく不足分の送金確証を入手された由。が、今度はこれが着金しない。経由銀行の東京支店まで電話していただいたようだが、のらりくらりの対応で結局不足分が着金したのは会長訪日直前。これで満額回収成功、めでたしめでたしだ。

総括
 今回の活動に教訓があるとすれば、「会社勤めのとき同様、自分が請け負った仕事はしつこくフォローすること」だと思う。幸い現役時代と異なり、「採算」で追い回されることはないので、新しい人や仕事との出会いなどの副次効果があることも励みとしつつ、今後ともABIC案件を大切にしていきたい。末筆になったが、長丁場を丁寧にフォローしていただいた西山さんに深くお礼を申し上げたい。