活動会員のレポート

4年間の大妻女子大学キャリア講座を終えて

一般社団法人日本貿易会 政策業務グループマネージャー 中村 なかむら 志保 しほ


学生たちと(中央が筆者)

講義風景

母校で講演することになって
 2013年から大妻女子大学「キャリア学習講座」に登壇する機会に恵まれた。「キャリア学習講座」とは、就職活動を控えた大学3年生を対象に行われるキャリア支援プログラムである。他ならぬ母校からの依頼に、これまでの経験が少しでも後輩の役に立てばと思い、引き受けさせていただいた。「就業継続力」というテーマの中で、私に与えられた講演のお題は「ワーク・ライフバランス」。身近な存在である卒業生として、仕事と結婚、出産、子育ての両立の経験談を中心に話をすることで、「今はこんなふうに続けられるんだ」、「私も両方やってみたい」と、就活前の女子学生の背中を少し押してあげることが使命と理解した。

ワーク・ライフバランスについて
 講演では、仕事と結婚、出産、子育ての両立の経験談を中心に、商社のワーク・ライフバランスの取り組み状況、先進的な取り組みをしている企業の紹介、社会背景とこれからの女性に求められる働き方、経済的な視点(男性の年収・生涯賃金)等々について話をし、彼女たちがこれからのキャリア・ライフデザインに前向きになれるよう、メッセージを送った。就活中は、目先のことに心を奪われがちになるが、長い人生の中で5年後10年後のなりたい自分をイメージしながら、企業選びをすることが大切ではないかと考えている。
 また、講演するに当たり、体系的にワーク・ライフバランスを学びたいと考え、㈱ワーク・ライフバランス(小室淑恵社長)のワーク・ライフバランスコンサルタントの資格を取得した。これはとても貴重な学びであった。「ワーク・ライフバランス」とは、「ワークとライフのバランスを取ること」や「ゆとりを持ってほどほどに働くこと」と誤解されがちであるが、どちらも少し違う。ワーク・ライフバランスは、言い換えれば「ワーク・ライフ『シナジー』」であり、ライフが充実することで、結果的にワークの質と効率が高まることを意味する。ワークとライフは二者択一ではなく、人生にとって両方不可欠であり、そして相乗効果をもたらすものである。

学生アンケートより~「仕事と家庭を両立させたい」
 4年間、私の拙い講義に対して、理解力ある大妻生のほとんどが「参考になった」と回答してくれた。「働きたいから結婚・出産は諦めていたが、両立できる企業を探したい」、「働くことはネガティブなイメージだったけど、私も生き生き働いて仕事も家庭も両立させたい」、「女性が仕事をすることはマイナスではなく人生を豊かにするものだと分かった」、「国も企業も女性活躍を期待していることが分かったので、自信を持って就活を頑張りたい」等々、講義前は、仕事か家庭かの選択で悩む女子学生が、講義後は働くことに対する前向きな意識変化が見られたことがとてもうれしかった。

ABICに感謝
 母校での講演という貴重な機会をつくってくださった大妻女子大学宮田教授、ABIC関前事務局長、猪狩コーディネーターに心から感謝している。自分自身を振り返る貴重な機会となった他、ワーク・ライフバランスを体系的に学ぶ機会にもなり、日本貿易会ダイバーシティ(女性活躍)推進タスクフォースの立ち上げにもつながっている。政府の働き方改革が本格的に始動し、女性活躍推進の追い風は今後も続くだろう。講義に参加してくれた大妻生の未来をずっと応援している。