活動会員のレポート

留学生支援活動から日本語教師養成講座へ交流館の活動に心が通う連携を!

佐藤 さとう 久夫 ひさお (元 東レ)

 東京国際交流館に隣接する日本科学未来館の客員研究員として、生命科学の基礎研究である「ミトコンドリアの生合成プロジェクト」チームに呼ばれたのは2016年10月のことだった。40年近くバイオ医薬の国際共同開発や宇宙開発事業団での宇宙生命科学のプロジェクトをNASAと共同で実施していた経験が、まさか「留学生の育児・健康相談のサポート」にお役に立つとは思わないまま、通訳として交流館のボランティアチームに加えていただいた。

育児・健康相談、入園支援サポート
 交流館では、留学先の日本の大学の支援対象となりにくい留学生家族に向けて、管轄の保健所から助産師、保健師など専門スタッフ3-4人を招いて隔月で健康サポートが行われている。ほとんどの家族が英語を理解するのでメディカルイングリッシュを知っていたことが助けになった。
 子どもが幼稚園の年齢であれば、近隣の公立幼稚園に随時入園できないか問い合わせをして、定員に問題なければ受け入れてもらえるように支援することもあった。園長面接に通訳として同席し、了解が得られればカバン、帽子から一連の入園前の準備を同じ日に行う。お互いに疑問点を解消しながら入園前から通園開始までを支援する。その中には園指定医の入園前健診も含まれる。雨の中、内科、耳鼻科、眼科、歯科を身重の母親と対象園児を連れて一緒に1日がかりで回ったこともあった。


助産師の健診

日本で出産を迎えたナイジェリアの夫妻
 2018年1月に日本で男児を出産したナイジェリアの夫妻への支援を行った。出産前に加えて出産後1ヵ月頃に自宅へ助産師が個別相談に訪れ、その際2回とも通訳支援に同行した。助産師は、異国での出産で相談する家族も近くにおらずに抱えている不安の一つ一つを解きほぐすようにアドバイスしていた。ご夫妻が安心され可愛い赤ちゃんが微笑むその現場に同席できたことはボランティアみょうにつきるものだった。

日本語教師養成講座
 このナイジェリアの母親とは初対面ではなかった。実は育児支援を指導しているABICコーディネーターの田中武夫氏から、日本語教師養成講座への参加をアドバイスされ、2017年4月から6ヵ月通っている中に交流館で実習が組み込まれていた。そこで生徒役で教育実習に加わっていたのがまさにこの方だった。
 多くの留学生家族が日本で生活してみると、日本語しか通じない局面が多数あり、改めて日本語の必要性を来日してから痛感すると話されている。


日本語教師養成講座での実習
(東京国際交流館 日本語広場)

日本語広場から交流館の活動へ広がりを!
 交流館で展開している「日本語広場」に参加する留学生は多く、そこでの交流を核として、留学生の家族の健康に関して(出産・育児・健康相談、健診など)の支援活動をボランティアチームの一員として行っている。
 同僚であるお隣の未来館の研究者の中には、空手やお花などの「日本文化教室」のボランティアを前から行っている人もいる。近隣の施設同士の交流を深め活動の理解を得ながら、交流館のメンバーとも個人名で呼び合える心の通った支援をこれからも拡大して行きたい。